ジャム特集
◆ジャム特集:18年ジャム国内生産 家庭用・業務用とも増加
2018年度のジャムの国内生産数量(日本ジャム工業組合調べ)は、5万1603tで前年比1.3%増となった。小売用は3万3776tで同1%増、業務用は1万7827tで同3.2%増となった。一方、輸入量が減少したことで、同年度のジャムの市場規模は、アヲハタの調査によると前年比微減の413億円。なお、同社では、17年度市場規模を314億円としていたが、18年から、データの対象を従来の60代までから70代まで拡大したことで、100億円規模で数値が上がり、今回も413億円となった。高齢層でジャムを楽しんでいる人が多いことがわかった。KSP-POSデータによる分析では、18年度ジャム・スプレッド市場は、数量ベースで1.9%減、金額ベースで0.4%減となり、単価の向上がわずかだが見られるようになった。(青柳英明)
◆輸入減で市場規模は微減
単価改善の背景には、果汁で仕上げたフルーツスプレッドなど比較的単価が高い、高付加価値商品が引き続き好調に推移していることがある。一方、ボリュームゾーンの低糖度瓶ジャムは軟調傾向で、紙カップジャムは、苦戦を強いられた。19年も果汁と果物で仕上げたジャムは好調を持続すると見られる。
未参入メーカーは、混戦市場に参入するか、新たな価値を持った商品を開発するかの難しい判断を求められる。
ジャムのパートナーである、食パンの需要は堅調に推移するものの今後大きな伸びは難しい。新たなパンのパートナーとなったヨーグルトも、健康訴求商品が食品業界で相次いで発売されたことで、市場は停滞傾向で推移する中、ジャム業界が熱い視線を送るのが、近年高い成長を示す、チーズだ。ジャムと乳製品の相性の良さは知られており、メーカー各社は、ジャムとチーズの提案を今後強化するものと見られる。
さらに、高齢層に支えられているジャム市場では、若年層の開拓が急務だ。各社、従来の「ジャム」のイメージから脱した、プロモーションなどを展開し、次の市場成長を支える層の掘り起こしに注力する。
ここ数年のジャム市場は、新興国の需要増による世界的なフルーツ原料の高騰や為替が円安で推移したことによる影響などで、コスト増に苦しめられ、売上げ以上に利益面で厳しい状況にあった。13年秋には、こうしたコスト増を吸収するため値上げを実施した。さらに15年秋には、紙カップ製品を中心に価格を据え置き内容量の減量を実施した。16年度は、輸入果物を中心とする原材料は高止まりにありながらも、為替が円安から円高に振れたことなどで、厳しい状況からは脱し、利益面の改善が進んだ。
17年も為替の大きな変動がなかったことから、経営上のリスクは軽減した。一方、前述の国際的なフルーツの高値に加え、ペクチンも、引き続き高値が続き、今後原材料は、上がることはあっても下がることは考えにくいとの声が聞かれる。
◆「ジャムの日」でイベント
日本ジャム工業組合は、4月20日の「ジャムの日」の認知度拡大を目的にしたイベント「ジャムの日を広める会~ジャムに恋する3日間~」を長野県小諸市と東京・銀座NAGANOで開催した。4月13日には、第1弾イベントを小諸市で実施。同市で開催したのは、1910年4月20日に、長野県三岡村(現在の小諸市)の塩川伊一郎氏が、「苺ジャム」を明治天皇皇后両陛下、皇太子同妃両殿下に献上した記録があることから。小諸市の「あぐりの湯こもろ」で、昨年に続き開催したイベントでは、オープン前から行列ができ、子どもたちは、ジャムのつかみ取りに笑顔で挑戦。大人たちもスタンプラリー、「ジャムラテ」の試飲などを楽しんだ。野澤栄一理事長は、3回目を迎えイベントも定着した、小泉俊博小諸市長もジャムの日を知るイベントとして定着したとあいさつした。
20日、銀座NAGANOでインフルエンサーを対象にしたイベントでは、国産プレミアムワインをリードするマンズワイン小諸ワイナリーの「ソラリス」とジャムを使ったカナッペや料理とのペアリングを楽しむ実演試食会を、料理ユニット「浅間兄弟」の鴨川知征氏をゲストに迎え実施した。受付で行われた、小袋ジャムのつかみ取りから、鴨川氏が作る「万能調味料」としてのジャムを活用したつまみメニューと長野県産ワインのマリアージュに参加者は満足した様子だった。また、小泉市長から「ジャムの日」について学んだ。明治から大正にかけて、桃とイチゴの産地化に取り組んだ塩川伊一郎父子。多くの人に支えられて加工に挑戦し、ジャムを明治天皇に献上したことから、日本のジャム産業の礎が築かれたとされている。
今後もジャムを使ったコンクールの開催などを視野に入れているとの話もあり、ジャムの日の今後も盛り上がりを確信したイベントとなった。
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