秋季漬物特集
秋季漬物特集:梅干し=低温多雨で売上げ減
◆和歌山19年産は前年比8割作に
【関西】前年に大きな需要増でにぎわいを見せた梅干し市場だが、今夏は低温多雨の影響で売上げは大幅に減少している。和歌山県では一番の売れ筋であるC級や規格外などのすそもの原料の価格が高騰し、この秋に値上げする加工メーカーも少なくない。
19年度産の収穫量は平年比9割作、前年比8割作といわれ、来年の端境期まで販売調整をかけながらの1年となる。
前年はTV番組で熱中症対策など梅の健康効果が取り上げられ、これまで梅を食べなかった新規層も増加したことで、需要が一気に増大。記録的な猛暑による熱中症対策需要も加わり、7~8月は例年の2倍近く売れた。好調な売れ行きは今年5~6月ごろまで続いたが、その後の長梅雨と梅雨寒で一時は前年の半分程度にまで落ち込んだ。気温が上昇して回復するも、盆明けから再び降雨日が続き販売も再下降した。
紀州梅の主産地である和歌山県の田辺・みなべ地区では今年、梅干し用の収穫を迎える6月中旬までの雨量が少なく、実肥りが進まなかった。台風による塩害、突風なども重なり、豊作だった前年と比べると収穫量は2割ほど少ない。降雨が少なかったため、サイズはL、2L中心の小ぶり傾向。雨が少ない分、秀品率は高い。
前年からの需要増で、ボリュームゾーンのすそもの原料が不足傾向にある。C級原料価格(10kg)は5500~6000円程度にまで値上がりしているもようで、値上げに踏み切らざるを得ない状況だ。すそものほどではないが、A、B級価格も上昇し、今後の状況次第でこちらも値上げの可能性はある。
中国産梅の19年産はやや不作。生育期に雨が多く降ったことで病害が増え、秀品率も低め。価格は前年並みにとどまっているが、依然として高止まり。(徳永清誠)