九州つゆ特集
全国、九州含めてつゆマーケットは安定期に突入しているが、やはり夏場の浮き沈みが年間を通して、売上げが左右される。昨年は九州地区では梅雨明けが遅れ、夏物商材は一般的に苦戦を強いられたが、新型コロナウイルスによる影響が1年中続き、商品動向を前年比で推し量ることは困難な状況となった。
昨年、コロナ影響のピークは4~5月で、学校関係もほぼ休校し、巣ごもり需要によって家庭内消費が急上昇したのは記憶に新しい。
その休校時期では家庭内での昼食市場が活性化し、特に、即席麺、パスタ類、ホットケーキの素などの小麦粉関連商品が品切れとなり、冷凍食品なども一時、棚から商品が消えた。
つゆも乾麺消費の活性化で、前年比で好調に推移した。食品スーパーも3月では数%の前年比増だったが、4月は軒並み同20%増を記録し、その勢いは5月末まで続いた。
緊急事態宣言後から解除に至るまでの消費者の生活様式は大きく変化し、食品スーパーでの試食販売、チラシ特売も激減している割には家庭用商材は安定的な売りを実現した。
まだ季節的要素の強いめんつゆだが、年間商品にステージを上げたのは事実で、各家庭では1年中、冷蔵庫に鎮座する使い勝手のよい調味料に格上げされている。
しかし夏場の休日に家族が一鉢のそうめん料理を囲むという光景は大きく減った。さらに夏場は猛暑、酷暑が続き、エアコンを活用する機会が増え、冷たいそうめんで涼を取るということも現実には減っている。
つまり、めんつゆの最大の敵はエアコンともいえ、むしろ、冷え切った部屋で温かいものが好まれるという皮肉な現象も起きている。
つゆが商品化されて30年が経過し、当初は簡便商品の代表として、毎年前年比2桁増を記録し、市場は数多くの参入メーカーで混戦状態となった。
その企業群も撤退メーカーが増えたものの、市場競争は依然として激しい。九州では九州醤油メーカーが先行し、市場を占有していた時代から全国メーカーの進出で、次第に業界相関図は変貌してきた。
キーワードはめんつゆから料理つゆとしての活用が求められるが、次第に定着を見ている。各メーカーの根気強い提案活動が実った形だが、その分、醤油の消費量は暫減傾向となっている。
つゆは醤油を基礎ベースにする嗜好(しこう)性の強い商品で、やはり、各県に存立する醤油メーカーが商品化し、地域に根差したつゆは安定した売上げを誇っている。
だが、近年、その九州地元メーカーは全国メーカーに圧され、北部九州ではその傾向が強い。だが、南九州ではさらなる嗜好性の違いから南九州に存立するメーカー群が存在感を強く示している。(九州支局長=堀江勝)
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