好調の冷凍シュウマイはギョウザ人気に追いつけるか

シュウマイ市場が元気だ。昨年あたりからじわじわと専門店が開店し、市販品でも冷凍食品やチルド製品の売上げが好調だ。思えば中国料理の「包子」「饅頭」系は、時代とともに話題となってきた。

個性的な冷凍シュウマイも登場

1990年代に鉄鍋ギョウザがブームとなり、そして宇都宮や浜松などの地域活性につながるご当地ギョウザが話題となった。2000年代に入ると小籠包が大流行し、専門店には行列が絶えなかった。その後、2010年代には羽根付きギョウザ、焼小籠包、変わりギョウザのほか、ギョウザ居酒屋などもでき、中国でいう「饅頭」(これは日本人の考える肉まんとは少々異なる意味)のバリエーションは広がったといえる。

一方、ギョウザ同様に日本人が食べ慣れているシュウマイは、これまでほとんどブレークにはいたらなかった。しかし、そんなシュウマイは今だからこそ人気なのである。

味の素冷凍食品の「FRESH FROZEN AJINOMOTO 大海老焼売」

冷凍食品では、ギョウザと唐揚げが惣菜部門の定番人気だが、数年前から各メーカーや老舗中国料理店で焼売の商品を次々と投入している。味の素の新ブランド「ザ★」シリーズでは、第1弾の<チャーハン>の次に第2弾として<シュウマイ>を発売した。同社の第3弾が<から揚げ>なので、いかにシュウマイに注力しているかがわかる。

また同じく冷凍食品では、「大阪王将 羽根つき餃子」が看板のイートアンドフーズが独自のたれと辛子をつけて「大阪王将 たれつき焼売」を発売。日本ハムは「中華の鉄人陳建一 国産豚の四川焼売」を発売している。

さらに、招福門や聘珍楼といった老舗中国料理店や、無印良品やコンビニ各社などにも冷凍シュウマイ商品はある。肉系に限らず、ニチレイフーズの「甘えびシューマイ 」、味の素冷凍食品の「大海老焼売」などのように海老焼売にも個性が見えたりと、シュウマイの冷凍市場は広がりをみせている。

ご飯のおかずとしての地位を確立

昨年11月に日本シュウマイ協会、味の素冷凍食品、招福門の3団体・企業は『シュウマイムーブメントプロジェクト』を発表した。多角的にシュウマイをアプローチしていこうという試みだ。背景には、コロナ禍において家庭内の食事のバリエーションを増やす必要があり、利便性の高い冷凍食品が注目されたことがある。

オンラインで開催された「シュウマイムーブメントプロジェクト」の発表会

ギョウザはすでに安定した市場を確保しているため、シュウマイに白羽の矢が立った。弁当需要だけでなく、「サイズが大きい」「具がしっかり感じられる」「本格的な風味」などのコンセプトが目立ち、夕食のおかずとして対応する食べ応えを実現。「夕食への対応」は、冷凍シュウマイ市場における狙いの柱のひとつだろう。

そのため、新製品にはオイスターソースやXO醤など「ご飯に合う調味料」を原材料に使用した商品が多い。加えて、味や具材に個性を出すことで、アルコールのつまみにも、おやつにも、ランチにも、さまざまなシーンに合うシュウマイが生まれ、食卓への出現頻度の高さが市場活性化にもつながっている。

利便性の高い食品

実際、シュウマイは手作りでは手間がかかる料理だ。その点でも、利便性の高い食品として消費者が抱く期待も高いといえる。本来は蒸すのだが、多くの商品は電子レンジで仕上げられるのも強みだろう。

大手食品卸の日本アクセスは8月から、冷凍シュウマイの拡売施策として「買ってよかった!シュウマイ」を実施

飲食店においても、数年前から焼売専門店や、看板商品に焼売を掲げた店が増えた。外食におけるシュウマイは今後どう展開されていくのだろうか。次回コラムでは、外食におけるシュウマイメニューに焦点をあてる。(食の総合コンサルタント小倉朋子)