小麦粉を使わない「新ジャンル乾麺」が増加 健康価値もアピールポイントに

日本の乾麺の大半は小麦粉が使われている。そうめん、冷や麦、うどん、ラーメン、パスタはすべて小麦粉を使用しており、そばに関しても十割そば以外には通常小麦粉が入っている。しかし昨今、小麦粉を無使用、または使用を抑えた新ジャンルの乾麺が増えつつある。以前からビーフンなど米粉使用の麺類はあるが、それとは別に、健康的側面や環境保護の側面などから商品開発されているのが特徴だ。

黄えんどう豆で低糖質高タンパク質・低GIを実現

ミツカングループのZENB JAPANが手掛けるのは黄えんどう豆を原材料にした「ZENB NOODLE」だ。小麦粉やコメといった穀物は一切入っていないのが特徴で、低糖質高タンパク質、低GIを実現している。食感はかなり小麦粉製に近く、食べ応えもある。

黄えんどう豆100%の新しい主食「ZENB NOODLE」

タンパク質の摂取とともに、豆のうす皮も入れているため食物繊維が1食で2分の1日分以上含まれ、糖質はパスタ・ごはんに比べて30%オフ(ZENB JAPANデータ)とあり、昨今のダイエットに必須ともいえる2大要素「高タンパク質」「低糖質」の両方を掲げている。さらにカロリーは、小麦粉のスパゲティカルボナーラが麺80gでは約700kcalだが、ZENBパスタは同量で440kcalとなる(筆者調べ)。しかし、企業側は低カロリーを別段PRポイントに掲げてはいない。

低カロリーを掲げないのは他社も同様だ。なぜなら、高タンパク質を実現するには低カロリーになりにくい場合が多いのだ。カロリーが高くても低GIであれば太りにくいとする考え方に重きを置く。また、人や環境への負荷が少なく、健康的側面を視野に入れた商品であることも新ジャンル麺の打ち出し方の特徴だ。企業側の商品アピールポイントに変化が見られる。

老舗企業も新商品を開発

老舗の企業も商品強化を図る。穀物全体を扱う「はくばく」では、食物繊維に着目した「もち麦うどん/そうめん」や「一食分のカルシウム/たんぱく質がとれる細うどん」「塩分ゼロ」シリーズなど、健康を訴求した商品を強化している。

はくばく「もち麦うどん」

東亜食品工業では、食塩不使用のグルテンフリー「米粉そうめん/うどん」の販売先の拡大、さらに健康を軸に環境に配慮した商品を開発している。創健社には、「きびめん」「あわめん」「ひえめん」がある。

また、乾麺ではないが紀文では「とうふそうめん風」シリーズが以前からコンビニエンスストアやスーパーで展開されているし、コンニャク麺は各メーカーが製造している。

選択肢の広がり

今までの太さや食感、メニューからの選択ではなく、素材や健康価値から麺類が選択できるようになった。糖質の代表格ともいえる乾麺だが、今後は「タンパク質を取りたいからパスタを食べる」などといった食べ方が出てくるだろう。

小麦由来原料、食塩不使用のグルテンフリー「米粉そうめん」

しかし、現在においてはまだ小麦粉麺の市場には及ばない。日本人は小麦ならではの風味に慣れている。価格と流通、そして消費者の認知と受容マインドなどの変化が課題だ。(食の総合コンサルタント 小倉朋子)

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