オランダでも認知度が上がる日本の食品、円安は海外展開のチャンス

筆者が住むオランダでは冬場の燃料高騰に国民みんなが悲鳴を上げた。連動して食品などさまざまな生活用品が値上がりし、2022年度の物価上昇率は11.6%(オランダ中央統計局調べ)にもなる。だが最近1つだけうれしい変化がある。今まで高級品であった和食材や日本からの輸入品と他のアジア諸国からの輸入品との価格差が縮んだことだ。実は円安が大きく影響をしている。

日本発のアニメやゲームに登場する和食材

元来、オランダ国内において和食の位置付けは「健康食、ローカロリー、高級品」というのが定番であった。つまり一部の意識高い系の人たちの食事だ。それが日本のアニメーションやゲームなどのサブカルチャーの普及により、10年ほど前からラーメン、おにぎり、たこ焼き、唐揚げ、弁当、たい焼きなどの認知も若年層を中心に広がっている。

オランダのスーパーで販売されている日本の調味料など(筆者撮影)

オランダで一番人気のある手作り和食メニューは寿司だ。あとはラーメン、照り焼き、味噌汁など。日本のマヨネーズも売られている。酸味があるのでサラダにでも使われているのだろうか。

和食材の位置は高級品から変化

とはいえ、日本以外のアジア圏からの和食材に比べると高級嗜好品の域を抜け出せなかった。背景にあるのは、他のアジア圏内通貨より円が強かったため。アジアンショップなどで店内に陳列されると他のアジア諸国から入荷されている和食材と比べた場合、価格の差が足を引っ張っていた。ちなみにオランダではタイ料理、韓国料理が近年人気が出ている。中華、インドネシア料理は安定の人気だ。

ところが昨今の円安により、日本国内価格は同じでもユーロでの仕入れ値が下がり、店頭に陳列された時に他のアジア圏内輸入品との価格差が縮まったのだ。

オランダのスーパーで販売されている日本の食品(筆者撮影)

冷凍食品やスナック菓子に可能性

日本からの輸入食材はオランダの消費者の手に届きやすくなってきている。現在、オランダのローカルスーパーで販売されている和食材は醤油、わさび、みりん、マヨネーズなどの調味料と麺類がメーンで、その他の食材については見かけることはほぼない。これは、オランダを含む欧州への進出を狙っている企業にとっては大きなチャンスだと思われる。

オランダのスーパーで販売されている日本の食品(筆者撮影)

日本の冷凍食品の品質は最高だと思うので、冷凍ミールキットやワンプレートミール、お弁当のおかずシリーズなどはアラカルトとしても受けそうだ。またスナック菓子の日本限定フレーバーや知育玩具菓子などは、大人も子供も楽しめそうだ。天ぷらなども、冷凍もしくは乾物扱いの麺類のトッピング用のものなどは保存もきいて、消費者に受け入れられやすいのではないだろうか。(オランダ在住フードコンサルタント 白神三津恵)

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