いつまでもおいしく食べるために 咀嚼力強化のおすすめ生活術
八〇歳で二〇本の歯を残そうという八〇二〇運動。しかし実際八〇歳の人で二〇本を保持している人はわずか一割で、加齢につれ食べる機能、噛む力や飲み込む力も衰えがち。食べたいものが食べられないと生活の質は低下し、生きる意欲をも失わせる。義歯の人もまめに調整し、よく噛む食習慣を心掛けよう。
「食べるために使う脳の神経の支配領域は七~八割を占めるといわれます。つまり食べる機能を活性化することは脳活性の助けにもなる。障害を持つ人や高齢者にとっておいしく食べることは健康回復への最も近いリハビリテーションなのです」。市川歯科医院(福島県いわき市)の市川文裕氏は、食べる機能を維持・活性化するための口腔リハビリテーションを含めた新しい「食介護」を推進している。「食べさせる介護でなく食べる側に立つ介護」をめざす市川氏は、おいしく食べ続けるための「食前体操」を独自に作成。実際に摂食嚥下障害の改善例も数多い。
◆食前体操・改善例
脳内出血の後遺症で舌片側麻痺のある七五歳の女性。だ液分泌や摂食嚥下、発音などに障害があり、相手の話は理解できるが自分の言葉が伝わりにくく、コミュニケーションに消極的だった。
そこで図の(1)~(4)の体操を音楽つきビデオにあわせ一日二回(昼・夕食前)、三カ月間継続した。結果、肺活力の向上・舌の左右移動・口唇の開閉が改善。発音も明確になり会話が聞き取りやすくなった。口腔周囲筋やだ液腺が活性化し補食・咀嚼が容易になりむせることも減った。笑顔で食事をする様子が多くみられ、会話の中にも積極的に参加するようになったという。
「高齢者が在宅生活を送る上で、摂食嚥下力・だ液分泌機能などの維持・改善は大変重要。おいしく食べられることは生活の質の向上、生きる意欲につながります」(市川氏)。食前体操は簡単に楽しく行え、老化予防や美容効果も期待できそう。
監修・いわき食介護研究会(市川歯科医院内)おいしく食べる体操を音楽に合わせリズミカルに実践できる。30分、5000円。
▽問い合わせ 電話・FAX 0246・29・2942
ホームページ http://e-taberu.com/index.html
◆おいしく食べるための食前体操
(1)首の体操
前後・左斜め・右斜め・左横右横・左回し右回し
…舌骨上下筋群を活性化し嚥下に関与
(2)あご・くちびるの体操
ほほをふくらます・大きな口で「あいうえお」・「タカ・タカ・タカ」「パッ・パッ・パッ」とはっきり発音
…口輪筋・咀嚼筋を活性化し、食物の取り込み、食塊の形成・送りに関与
(3)舌の体操
舌の出し入れ・上下の唇をなめる・左右の唇の角をなめる・唇の内側をなめ回す・左右のほほを押す
…舌筋群を活性化し咀嚼、食塊の形成・送り、嚥下に関与。唾液腺を活性化し、唾液の分泌を促進
(4)口腔周囲筋のマッサージ
左右のほほ・上唇の上・あごの下・左右のあご・下唇の下・首
…口輪筋・頬筋・咬筋を活性化し、食物の取り込み、口腔内保持に関与
◆「よく噛む」食事の心掛け
☆ゆっくり食べる
噛む回数が増え、だ液の分泌が良くなる。満腹中枢からの信号が出て食べ過ぎを防ぐ。
☆テレビをつけない
テレビを見ながらだとつい噛む回数が減る。姿勢も悪く首を傾け片側ばかりで噛みがち。
☆いろいろな食感の食品を
硬い・柔らかい・ネバネバなど食感の異なる食材をとりいれバランスのよい食事を。
☆姿勢を正しく
噛むには顔・首・背など多くの筋肉を使う。食べる姿勢が悪いと顎関節症になりやすい。
◆「よく噛む」ための食品
持田製薬『咀嚼百彩(そしゃくひゃくさい)』
噛む力を効果的に向上させる固さ・大きさのグミ状咀嚼食品。キシリトール・イチョウ葉エキス・プロポリスなどの機能成分配合。
▽約90粒入り、3200円
ライオン『噛むブラッシングガム』
噛み続けても小さくならないガムベース採用。シャリシャリの新食感と味が長続きし、だ液分泌を促進。
▽7粒入り、オープン価格
ロッテ『TE‐A‐TEテ・ア・テ』
噛むことと栄養摂取の2つの健康効果を合わせたサプリメントガム。新発売の「アミノ酸」ほか「マルチビタミン」など全7種
▽15粒入り、150円














