生麺・冷凍麺特集
生麺・冷凍麺特集:冷凍麺=価値見直され販売増 新規需要の獲得へ
冷凍麺市場はコロナ禍が続く中で、家庭用が堅調で業務用が伸び悩む傾向となっている。家庭用は前年にコロナ禍で喫食経験が増えたことで、価値が見直された。コロナ禍によるテレワークが継続されるなど、21年に入っても需要が高水準で推移していることから、新しい需要の獲得を目指す。半面、業務用は、外出自粛などによって外食産業や事業所給食などが引き続き厳しい状況にあるため、新しい生活様式の中で生まれた需要などに対応していくことで回復を図る。
家庭用市場の4~6月販売状況(本紙推定)は、前年比微増で推移している。ラーメンカテゴリーの販売増がけん引役となっていることが要因だ。ラーメンカテゴリーの中でも、汁なしタイプの売上げが同2桁増と好調が続いている。家庭用市場は昨年、既存ユーザーに加え、巣ごもり需要などで新規ユーザーを獲得できた。そのユーザーが冷凍麺のおいしさや利便性を知って、今年も継続購入につながっているようだ。そのため今年は、このコロナ禍で増えた新規ユーザーをロイヤルユーザーとして育成していきたいとする。
秋冬の商品戦略は、本格をテーマにした商品が充実していきそうだ。本格を提案していくことで、外食の代替需要の獲得を狙う。
カテゴリーでは、ラーメンが引き続き市場を引っ張っていきそうだ。中でも汁なしタイプは、今秋冬も販売増の勢いが続くと予想されている。メーカーも積極的な商品提案や販促活動を実施することで、さらに盛り上げていく考えだ。
パスタも商戦が激化していきそうだ。1食完結型のパスタは昼食需要などで売上げが堅調に推移している。パスタカテゴリーでも外食品質の商品や、秋冬シーズン向けの濃厚な味わいの商品などを投入することで、活性化を図っていく。
課題は、うどんやそばの和風タイプの回復だ。5食などの玉麺は順調に売上げを伸ばしているが、具付きなどがやや伸び悩んでいる。名店監修など、魅力的な商品を提供していくことで、成長軌道に戻していきたい。
業務用の4~6月は、前年が大きなマイナスだったため、堅調な実績となったが、19年比では2桁減とまだまだ苦戦を強いられている。7月以降も行政による緊急事態宣言やまん延防止措置などコロナ対策の影響で、外食産業は営業自粛や時短営業が続き、思うように売上げの獲得ができない状況にある。
その中で、テークアウトや出前といったニーズの高まりに向け、経時変化に強い製品などを提供していくことで、顧客の利益獲得への貢献に取り組んでいる。今後も社会の変化に伴うニーズの変化に対して、柔軟性とスピード感を持って対応していくことが重要となりそうだ。(久保喜寛)