加工ごま特集

◆加工ごま特集:健康意識向上、有機品伸びる 継続使用促す提案を

農産加工 2020.12.28 12165号 06面

 20年の加工ごま市場は、家庭用はコロナ禍による健康意識向上で内食需要が高まり、販売数量が増加した。メーカーによっては前年比2桁増での推移が見られた。特に有機製品や練りごま、金ごまが大幅に伸びている。(三井伶子)

 通常品のいりごま、すりごまの消費が伸び悩む中で、有機製品が前年より大幅に伸びた。コロナ禍の状況下で健康意識が高まり、より安全・安心のイメージが強い有機製品購入への後押しになったようだ。

 練りごまは、TV放映された調理事例紹介の効果で、使い勝手の良いスパウトタイプが3月以降大幅な伸びを示している。家庭で料理する機会が増え、比較的高額な練りごまを手に取って料理に利用してもらえたことも考えられる。

 業務用は主に、外食向けが自粛による影響で大きく減少した。単月では5月が最も大きく落ち込んだが、7月以降は緩やかな回復基調にある。加工食品向けは、内食需要の高まりで原料需要が増加した。家庭内調理の増加に伴い、食品スーパーのデリカなどの店内加工向けが減少傾向も、7月以降は持ち直しつつある状況だ。練りごまは加工ユーザー向け、コンビニ惣菜向けで堅調に推移するメーカーもあり、減少量は限定的だった。

 原料事情について、コロナ禍による流通事情などで世界的にごまの消費が落ち込み、いったん原料価格が下落したが、秋には収穫量の不安から急上昇するなど価格は落ち着きを見せていない。また、世界最大の消費国である中国の景気動向次第で市場価格が左右されるところもあるため、注視が必要となっている。

 原料価格の変動に利益が大きく影響される現状から抜け出すためには、利益商材の育成が急務となっている。また、白・黒・金で原料価格差も大きくなり、これらを従来のように同じ規格・同じ価格で販売するには無理のある状況が続いている。

 巣ごもりによって家庭内でのごまの使用頻度が高まったことから、継続して使用してもらえるような提案の強化が課題といえる。練りごまが具体的な利用方法の紹介で大きく伸びた例もあり、使い方の提案による認知度拡大が重要となる。

 全国胡麻加工組合は、11月5日の「ごまの日」に食品スーパーで販促イベントを実施し、ごまの消費拡大に努めている。ごまは体に良いと多くの消費者が認識し、新たな効能も見つかってきている。大手食品メーカーや製薬会社などからもごまサプリメントの販売が続いている。抗酸化力に優れたごまの健康効果を訴求し、さらなる需要拡大につなげたい。

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