コーヒー・コーヒー用クリーム特集
◆コーヒー・コーヒー用クリーム特集:「家庭でコーヒー楽しむ」ニーズ拡大
今期の国内家庭用コーヒー市場は、急拡大した20年の反動はあるものの、伸長傾向は続いているとみる向きは多い。その要因として、コロナ禍による家庭内需要の拡大から伸長した20年に比べると減少してはいるものの、19年に対しては拡大していることなどが挙げられるからだろう。その伸長率は緩やかになったが、家庭内時間の拡大による可処分時間の増加により、「家庭でおいしいコーヒーを飲みたい・楽しみたい」という意識はさらに高まっている。消費が拡大するその一方で、需要と供給のアンバランスによるコーヒー生豆国際相場の急騰やコストの高騰などから、やむなくレギュラーコーヒー(RC)の価格改定に踏み切る動きもあり、今後の同市場の推移を見守る必要がある。(本吉卓也)
●一方で供給懸念も
ウィズコロナによる家庭内時間の拡大は、コーヒーや紅茶、緑茶などの嗜好(しこう)飲料の家庭内需要を伸長させた。全体として好調に推移するコーヒーは、スティックや一杯抽出型(ドリップタイプ)などの簡便性やバラエティーを訴求する製品群が特に好調に推移している。テレワーク推進などによる在宅時間の増加は、オンとオフの領域をあいまいにするなど、気分転換やほっと一息つくためのコーヒーの価値やニーズをさらに高めている。レギュラーコーヒー(RC)など“おいしくコーヒーを楽しみたい”という意識の表れといえるのが、コーヒー豆製品の伸長だろう。自分で豆を挽くなど、ひと手間かけたコーヒーを入れる時間そのものを楽しみたいというニーズも拡大している。
このニーズに対応するのが、キーコーヒーが1日から投入した「RC豆」製品の新シリーズ「珈琲専門店の香り ブレンドコーヒー/クラシック」だ。同社が業務用として喫茶店に提供してきたコーヒーを家庭用に設計したものとなる。家庭内需要拡大から伸長するコーヒー豆カテゴリーに着目し、購買層のメーンターゲットとなる60代男女を中心にアプローチを図る。同時に、日本が誇る「喫茶文化の継承」を目指し、昭和レトロな喫茶店の味わいを提案する。
これら伸長する炒(い)り豆や粉製品の「容量」を新鮮な状態で使い切りやすい容量に変更するのが、UCC上島珈琲だ。同社の主力ブランド「UCC ゴールドスペシャル」を刷新する。全製品で味覚設計とパッケージをブラッシュアップし、6日から投入している。今回のリニューアルのポイントは「容量変更」となる。世帯変化による消費者ニーズの変化に対応し、大容量(400g以上)から中容量(250~399g)へ変更する。
加えて、日本初の原材料コーヒーのみとなるRC100%(無添加)の機能性表示食品「珈琲生活プラス」のワンドリップタイプを投入し、コーヒーの可能性を追求する。
このように、今秋は、各社を代表する主力ブランドの刷新が続く。ネスレ日本は、1967年に日本初のフリーズドライコーヒーとしての発売以来、日本のコーヒー文化の発展に貢献してきた「ネスカフェ ゴールドブレンド」レギュラーソリュブルコーヒー(RSC)を1日から刷新した。今回は、ネスレ独自の「スターロースティング製法」を採用した。同製法は、コーヒー豆の特徴に合わせて、徹底した時間と温度管理で焙煎し、コーヒー豆の特徴を最大限に引き出す製法となる。同製法により、繊細に織りなす上質な香りとすっきりとした後味を実現させている。「ゴールドブレンド」「同 コク深め」「同 香り華やぐ」「同 カフェインレス」の4種をラインアップ。上質感を訴求するため、パッケージデザインも進化を図り、多様化する飲用シーンやニーズに応えていく。
加えて“植物由来のやさしいラテ”「ネスカフェ」“プラントベースラテ”のラインアップを拡充する。日本限定製品の「ネスカフェ ゴールドブレンド ライスラテ」計3製品を投入し、プラントベースラテの選択肢を広げる。
好調を継続するスティック市場には“スティックコーヒーの概念が変わる味わい”を提案するのが味の素AGFだ。スティックコーヒー史上最高のカフェ専門店品質を目指し、「カフェラトリー」からの新シリーズとなる「The(ザ)」シリーズを投入した。厳選したアラビカ豆100%使用など、コーヒー・ミルクなどの素材にこだわり抜いた「『ブレンディ カフェラトリー』スティック ザ・カフェラテ」「同 ザ・キャメルラテ」の2品をラインアップし、生活者のニーズに応える。また、16年の発売から5周年を迎え、売上げが50億円を突破した「『ブレンディ カフェラトリー』スティック」の濃厚シリーズを全面リニューアルする。濃密な泡立ちや量、質感をさらに高めている。
片岡物産も主力の「モンカフェ」ブランドの刷新を図っており、10月1日の「国際コーヒーの日」に向けた取組みなど、コーヒー業界を挙げ、さまざまな戦略を展開していく。
一方で、国内はじめ世界レベルでの経済活動の回復に伴うコーヒー消費量の拡大が見込まれる中、生産国ではその需要に応えるだけの供給が追い付かないという需給バランスの乱れが生じている。7月20日には、最大の生産国ブラジルでの広範囲のコーヒー生産地域で1994年以来となる大規模な降霜が確認されるなど、今後も供給不足の解消は困難との見通しから高値相場の長期化が懸念されている。
コーヒーの需給に関係した相場高騰に加え、コロナ禍による海上輸送網の大きな混乱から、海上輸送料金も大幅に上昇している状況がある。さらに、円相場は21年に入り円安傾向へ転じ、年初からの半年間で約7円以上の円安水準に達し、原料のすべてを輸入に頼るコーヒーの調達価格に多大な影響をもたらしている現状があるという。
これら「コーヒー生豆相場高」と「円安」が重なる深刻な状況に直面し、さらに資材やエネルギー原料、物流費の高騰といったコストアップ要因も加わり、RC製品のコストは、大幅に上昇していることから、やむなく、UCC上島珈琲は9月1日から、キーコーヒーは10月1日、味の素AGFは同日納品分から、価格改定を実施する。コーヒーの需給バランス含め、今後の推移を見守りたい。
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