国産・日本ワイン特集

◆国産・日本ワイン特集:高付加価値品の育成が鍵 家飲みの選択肢に

酒類 2021.06.04 12238号 06面

 巣ごもり生活が長引く中、付加価値の高い国産ワインを提案する動きが強まっている。メーカーが気軽に楽しめる発泡ワインを開発したり、ECや小売店でも国産ブドウだけで造る「日本ワイン」の存在感が増す。巣ごもりで手軽に飲める缶チューハイの躍進が目立つが、在宅時間を彩ろうとワイン入門者を取り込みながら家飲みの選択肢を広げている。(岡朋弘)

 20年のワイン課税出荷数量は35万klと前年比7%減少した。国産ワインが同6%増の13万klと増えた一方で、国内ワイン市場の約6割を占める輸入ワインは業務用需要が低迷し同12%減の23万klと落ち込んだ。新型コロナウイルス禍で若者を中心に家飲みへのシフトが進み家庭用市場が拡大。「酸化防止剤無添加」など付加価値の高い国産ワインを入口として、ワインの購入率が拡大に転じた。

 21年に入り、ワイン各社がカジュアルに楽しめる発泡ワインや機能系ワイン、高品質な日本ワインなどを打ち出す動きが強まっている。全国約900店舗のPOS販売実績データを日本食糧新聞社が加工したKSP-POSによると、国産スティルワインの1000人当たりの販売金額は前年比で約8%増えた(20年5月~21年4月)。

 21年の業務用市場は緊急事態宣言下の料飲店の酒類提供停止要請により、ワインを含む酒類全体が影響を受けている。レストランや個人経営のワインバーなどの需要が落ち込み、業務用が主体の高級日本ワインは苦戦を強いられている。

 ●日本ワインの新たな動き

 コロナの世界的流行下にあって、国産ワインの20年輸出額が3億4800万円と前年から約2倍に拡大した。品目別では首位のウイスキーや清酒をおさえて最も高い伸び率だった。海外品評会や展示会、イベントを通じて日本ワインに対する関心が高まっている。

 国内販売ではメルシャンが扱う日本ワインの旗艦ブランド「シャトー・メルシャン」が好調に販売を伸ばす。産地の名前入りワインなどの採用が流通チェーンで拡大。自宅でも上質な時間を過ごしたいというこだわり需要をとらえているという。ワイナリー見学の実施が難しい中、SNSなどで積極的に接点を作り日本ワインの価値向上に努めている。

 サッポロビールは今春から日本航空と共同でワイン用ブドウの栽培をスタートした。北海道北斗市の自社ブドウ畑で、地域活性化を目指す日本航空の客室乗務員がブドウの栽培や収穫に携わる。アサヒビールも北海道の余市でワイン用ブドウの栽培に取り組み、「ピノ・ノワール」種や「ピノ・グリ」種、「ケルナー」種の栽培を進めている。

 国内のワイナリーは約330社を数える。そのうちの9割以上が中小規模だ。コロナの影響による外出自粛で、業務用向け販売が低迷しているほか、ワイナリーでの観光客向け販売が激減するなど、今後も厳しい経営環境が続きかねないと不安視する声もある。

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