野菜・野菜加工特集
野菜・野菜加工特集:タキイ種苗 農の「働き方改革」に貢献
●PC筑陽、トゲ発生せず作業性向上
高齢化や担い手・後継者不足など、農業の現場が直面する課題を、育種を通じて解決するタキイ種苗。中でも省力化はキーワードとなり、まさに農業界の「働き方改革」実現に貢献している。
ハウス内での越冬栽培が中心となるナスの促成栽培では、ホルモン処理(着果促進剤施用)が広く適用されている。この作業は重労働で、全労働時間の約3割を要し、高齢化や人手不足に悩む産地にとって、悩みの種となっている。同社では、この処理を不要とする単為結果ナスの育種を進め、「PC筑陽」=写真=を開発。既存品種の「筑陽」と同じ長ナスタイプに、単為結果性を付与した品種で、果色が濃く太長形の筑陽の特徴を継承。葉枝部や果実のヘタにトゲが発生せず、作業性が高いメリットもある。
ホウレンソウの「福兵衛」「伸兵衞」「タフスカイ」は、多収性と作業性を両立。葉柄が太く葉のボリュームがあり、立性で軸が折れにくいためだ。しかも根が強いため湿害に強い上、べと病耐性があり、病気にもなりにくい。同3種をうまくリレー生産すれば、通年栽培も可能だ。
「福兵衞」は、生育旺盛な秋まき春獲りの早生種で、播種期幅が長く、冬獲り栽培が可能。「伸兵衞」は、低温伸長性があり、低温期の収穫に優れる秋・冬獲りの早生種。「タフスカイ」は、耐暑性に優れ、ホウレンソウが苦手とする夏場でも生育できる。中間地・暖地の秋・春獲りのほか、冷涼地の春・夏獲りに最適。
夏場の農作業が問題となる中、根深ネギ「名月一文字」は、暑さに強く、夏・秋獲りで高収量を発揮する新品種だ。ゆっくり生育し、夏場の急激な温度上昇の影響も軽微で、葉身が短く、風害による倒伏のリスクが低く、曲がりにくく秀品率が高い。さらに収穫が遅れても棒ネギになりにくい。春と秋に発生しやすいべと病やさび病、夏に発生しやすい萎凋病(いちょうびょう)や軟腐病にも比較的かかりにくい。(佐藤路登世)