即席味噌汁特集

◆即席味噌汁特集:右肩上がりで市場活性化 個食対応品と大容量がけん引

味噌・醤油 2020.04.10 12037号 04面

本格的な味わいはもちろん簡便性や即食性が評価され、即席味噌汁の需要が伸びている。市場をけん引するのはブロックタイプのフリーズドライ(FD)味噌汁やカップ味噌汁など個食に対応したアイテム。1袋に10食以上が入った大容量タイプの動きも好調だ。“食数の二極化”が進む中で、減塩・低塩をうたう商品も存在感を増している。ドラッグストアや持ち帰り弁当チェーンでの取り扱い強化に加え、非常食・常備食としてのポテンシャルも需要を下支えする。シーズンごとに各メーカーの新商品が投入されるなど市場は常に活性化し、今後もマーケットは拡大を続けそうだ。(涌井実)

●簡便性・即食性に高評価 市場規模505億円

家庭内での調理機会は減っているが、即席味噌汁の消費量は年々増加傾向にある。手作りの味噌汁と比較しても遜色ない味わいと品質、湯を注ぐだけですぐに食べられる簡便性が消費者に浸透し、リピーターが増えている。

マーケティングリサーチ会社のインテージによると、19年(1~12月)の即席味噌汁の市場規模は500億円の大台を超える505億円(前年比2.2%増)で過去最高を更新した。ここ数年市場は右肩上がりで拡大し、5年前に比べてマーケットサイズは2割強増大した。

市場を二分するのは、カップ味噌汁やFDブロックなど個食需要に対応した商品と大容量商品だ。

前者は食のパーソナル化が進む中、量を必要としない単身者や高齢者の支持を得た。特にカップ味噌汁はコンビニエンスストアでの取り扱いが増え、オフィスワーカーのランチ需要を取り込んだ。フリーズドライ技術の向上に伴い、FDブロック味噌汁もラインアップが増えた。他の味噌汁に比べて割高感はあるが、それを上回る満足感を提供することでしっかりと市場に根付いた。カテゴリーをけん引するアサヒグループ食品が東京、横浜、札幌、大阪などで展開するアンテナショップ「アマノ フリーズドライステーション」も認知向上に貢献した。

後者の大容量タイプはファミリー層を中心に支持を集める。1袋に10食以上がアソートされた商品で、さまざまな具材や味を楽しめる。24食や32食、40食入りなど食数が多く、日常使いできるアイテムだ。1食当たりの単価が安いため、経済がデフレ方向にシフトすれば、引き続き需要が高まる可能性が高い。

●減塩アイテム急拡大

健康意識の高まりで減塩をうたう商品も数多く販売されている。19年の減塩商品の市場規模は77億円で、5年前から3割強増えた計算だ(数字はすべてインテージ・食品SRIデータ)。特にFDの減塩タイプの伸びが顕著だった。厚生労働省が定め、4月から適用された日本人の食事摂取基準(2020年版)でも塩分摂取目標値が引き下げられ、今後もこのカテゴリーは一定の成長が見込めそうだ。

一方で3、4食分の味噌と具材がセットされた袋物の味噌汁は苦戦を強いられている。高付加価値のレトルト具材を使用した商品や使用する味噌・具材にこだわった商品、機能性のある商品など、アイテムに何かしらの個性がなければ売場で生き残っていくことは難しい。

販路が多岐にわたり、消費者との接点が増えたことも需要拡大の一因だ。これまで即席味噌汁は主に食品スーパーで販売されていたが、近年はコンビニエンスストアやドラッグストア、持ち帰り弁当チェーン、惣菜店などでも取り扱いがある。食シーンに合わせてさまざまな容量、形態の商品があるため、売り手にとって扱いやすいメリットがある。

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