春季新潟食品産業特集
◆春季新潟食品産業特集:難局克服へ独自の提案力を
2020年は、東京オリンピック・パラリンピックの開催が新潟県でも明るい話題の一つに挙げられそうだ。日本の食と酒が世界から注目される大きなチャンスで、「食の新潟」「食品産業王国」をアピールできる場となり、ビッグイベントは歓迎ムード。新潟でも選手団の合宿の地があり、ホストタウンとしてさまざまな交流を通じて新潟の食を世界の選手に味わってもらう機会が創出される。また、6月5~6日の聖火リレー県内縦断など、開催地でなくともさまざまな形で盛り上がってくると予想される。TV観戦などによる内食の拡大や、インバウンド需要への期待も大きい。こうした好機を逃さず、ポストオリ・パラも見据えて、令和の新時代に未来の需要へ結びつけるためには、流通3層で知恵を絞り、逆境を乗り越える総合力が鍵となりそうだ。(山本大介)
●地域密着、総合力で飛躍
新潟県は、毎年2万人超の人口が減少しパイは徐々に縮小しているとはいえ、220万人を超える規模の地方として、独自の文化を持ち内需創造と外需開拓のポテンシャルは高い。「佐渡」や「魚沼」は海外からも認知されるブランド力があり、長岡の花火大会では100万人を超える観光客が訪れ、清酒離れのなか「にいがた酒の陣」を開催すれば2日間で14万人を超える来場者数となる。こうした新潟のブランド力やイベントを通じた新潟の魅力を発信する機会は多く、県外・海外からの誘引力は抜群だ。
県内の主要製造業のうち、食品産業が第1位の出荷額を誇り基幹産業。特に、もち・米菓・水産練り製品は全国1位の出荷額(2016年度経済センサス)で、清酒は全国3位ながら酒蔵数は日本一。このほか、ビスケットや漬物といった産業も上位となる。加えて、絶好調の包装米飯市場はさらに需要が拡大中だ。
一方、厳しい話題も多い。19年は大地震や大雨で一部被害が出たほか、猛暑による高温障害でコメの品質低下にも見舞われた。さらに昨年末から今年にかけて、多すぎれば厄介者の「雪」が不足し、“災害級”となるほど新潟の経済に影響。雪不足は、今後の農業への水不足にもつながるため、注視が必要だ。百貨店の大和が長岡市や新潟市から撤退したのは記憶に新しいが、新潟市の中心地で繁華街の古町に位置する新潟三越も今年3月に閉店するなど、街の空洞化現象も加速しそう。2~3店舗を展開していた食品スーパーが相次いで倒産するなど、買い物弱者が生まれるエリアも山間地にとどまらず増えてきている。逆に、限られた市場に県外ドラッグストア(DgS)やディスカウントストア(DS)の進出で、店舗過多傾向は進み競争が激化。人口減少の中で店舗過多や気候要因リスクなど、対応課題は山積みでもある。
こうした厳しい環境の中で、地元小売業では価格だけではない品質・提案重視型の経営に舵を切り、店舗改装や新規出店、惣菜やオリジナル商品の強化など独自性を打ち出す。頑張る地元メーカーも新潟のブランド力を前面に、全国や世界を見据えた取り組みに力を注ぐ。地域に密着しながら、独自の提案力で難局を乗り切り、食品産業王国としてさらなる飛躍が期待される。
本特集では、小売業の動向から新潟の現状を探り、12~13面でイオンリテール北陸信越カンパニーの今後の成長戦略、片山商事の健康生活を応援する取り組み、新潟伊勢丹による地元名産品発掘プロジェクト「NIIGATA越品」ブランドの展開など、小売各社の独自性を紹介。14面では、県内で頑張る企業・食品産業界のトピックスをまとめた。
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◆春季新潟食品産業特集:難局克服へ独自の提案力を
特集 総合 2020.02.212020年は、東京オリンピック・パラリンピックの開催が新潟県でも明るい話題の一つに挙げられそうだ。日本の食と酒が世界から注目される大きなチャンスで、「食の新潟」「食品産業王国」をアピールできる場となり、ビッグイベントは歓迎ムード。新潟でも選手団の合宿の…続きを読む
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春季新潟食品産業特集:小売流通動向 優勝劣敗で新局面
特集 小売 2020.02.21●サバイバルレース激化も 新潟県内の小売業は、過去に経験した「新潟流通戦争」といわれる安売り競争とは違った新たな局面を迎えている。地元食品スーパーのチェーン店では、惣菜やオリジナル商品の開発などで品質・提案型の店舗運営を進める。一方、県外からDgS…続きを読む
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春季新潟食品産業特集:イオンリテール北陸信越カンパニー・岸孝司支社長
特集 小売 2020.02.21◇イオンリテール北陸信越カンパニー・岸孝司常務執行役員支社長 ◆地域密着の多店舗展開目指す 新潟県内で24店舗を展開するイオンリテール北陸信越カンパニーは、地域に密着した取組みに注力する。2025年までにカンパニー管轄で2桁出店を計画し、同県内だ…続きを読む
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春季新潟食品産業特集:片山商事・片山政博社長 ナチュレ片山で健康生活応援
特集 小売 2020.02.21片山商事の片山政博社長は1989年に社長に就任。99年に新潟市東区紫竹卸新町に本社を移転し、経営効率化を目的とした倉庫と在庫管理、配達を外部委託化や県内酒販店との共同仕入れなど次々と経営改革を行った。2007年には少子高齢化やIT機能化の時代に合わせ…続きを読む
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春季新潟食品産業特集:新潟伊勢丹・長谷川雅史越品プロジェクトバイヤー
特集 小売 2020.02.21◆「NIIGATA越品」を世界へ 「想像を超える新潟がある」がコンセプトの「NIIGATA越品」ブランド。2015年、日本が地方創生ブームに沸く中で、浅田龍一新潟三越伊勢丹社長(現JR西日本伊勢丹社長)が発案し、翌16年春に店舗全体を巻き込んだキャ…続きを読む
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春季新潟食品産業特集:地域発頑張る企業=越後しらたま本舗 簡便シリーズ好調
粉類 特集 2020.02.21越後しらたま本舗は新潟市南区で2018年6月1日にスタートした。前身となる大槻食品をみたけ食品工業が子会社化、白玉粉、上新粉、コメ加工品の新たな領域での展開を目指し、商品開発と販路開拓に取り組んでいる。その先頭に立つのが麻野正晴取締役副社長(みたけ食…続きを読む
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春季新潟食品産業特集:地域発頑張る企業=渡辺酒造店 豊醸蔵通じブランド発信
酒類 特集 2020.02.21●新しい酒蔵を確立 1868(明治元)年の創業から百五十有余年、新潟県糸魚川市の根知谷で日本酒を製造してきた渡辺酒造店。6代目として活躍するのが渡辺吉樹氏だ。異業種から同社の経営陣に加わり一から酒造りを学び、新しい酒蔵のスタイルを生み出し「根知男山…続きを読む
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春季新潟食品産業特集:ネオテイク「丸光大竹会」が総会・新年会
特集 卸・商社 2020.02.21業務用卸ネオテイクの取引先・メーカーで構成する丸光(まるみつ)大竹会は6日、新潟市のANAクラウンプラザホテル新潟で第32回総会・新年会を開催した。今年は、日本を代表するプロ経営者の原田泳幸氏を招き講演会も実施した。(山本大介) ●人海戦術型から労…続きを読む
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春季新潟食品産業特集:ヤスダヨーグルト フローズン販路拡大へ
アイスクリーム 特集 2020.02.21●関東に冷凍倉庫拠点を構築 ヤスダヨーグルトは、フローズンヨーグルトを含むアイスクリーム事業を拡大する。関東に物流拠点を構築することで在庫をストックできるようになり、関東の小売チェーン店へ営業を強化していく方針だ。 同社のフローズン商品は、アイス…続きを読む
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春季新潟食品産業特集:新潟県漬物工業協同組合 新春懇談・講演会を開催
漬物・佃煮 特集 2020.02.21新潟県漬物工業協同組合は7日、新潟市のANAクラウンプラザホテル新潟で新春懇談会を開催した。部会活動の報告や協賛商社による最新情報を発表。恒例の講演会を今年も同時に実施し、佐渡市尾畑酒造の尾畑留美子専務が「生産地の魅力を伝える~幸せを醸す酒造り」と題…続きを読む
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春季新潟食品産業特集:たいまつ食品 「焼肉ビジネスフェア」に初出展
コメ・もち・穀類 特集 2020.02.21たいまつ食品は、焼肉業界へもちの新たな食べ方を紹介し、大きな反響を得た。 1月22~23日に東京都の池袋サンシャインシティ文化会館で開催された「焼肉ビジネスフェア2020」に初出展。もちメーカーは同社だけで、焼肉のたれの甘辛いたれで作ったみたらし味…続きを読む
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春季新潟食品産業特集:シー・アイ・シー HACCP制度化目前セミナー開催
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