九州夏期特集
●異なる売れ筋商品
九州地区は南北300kmという広大な地理特性がある。福岡を中心に北部九州で民力が集中しているのはやむを得ないが、中部、南部とそれぞれ歴史ある都市が存在し、民力が分散している。
そのため各地区で独立的な市場を示し、地方文化が花開いている。熊本や鹿児島などは明治維新にわが国を動かす革命の志士らが活躍し、わが国、日本のそれまでの仕組みを変え、基盤を作るに至った。
「九州はひとつ」という言葉が象徴化され、九州人というひとくくりにされることにはやはり、無理がある。食の嗜好(しこう)も北部と南部では大きく異なる。
このように情報システムが発達しても、各県売れ筋が異なるとメーカー、卸関係者は口を揃える。特に、日配食品はその地でなくてはならない商材が多く、全国小売業がどう品揃えしていくか。苦慮している例も少なくない。
図にある九州地図は古代の行政区画で、九州は九つの国で成り立っている。それが命名の由縁でもあるが、当然、国境には関所があった。多くの民が生まれたその地で生涯を過ごした。
生活習慣が幽閉され慣習として残存していく。食に限定すれば、基礎調味料である醤油、味噌、だし文化、嗜好品としての酒類など人々の生活の中に古くから根付き、代々その味は受け継がれる。
その意味で九州は多彩な食文化で彩られ、各県、特徴を持った名産品が販売され、土産物には事欠かない。焼酎やアゴだし文化はかつての限られた地域での産物でしかなかった。その食が今や全国へ波及し、九州の食文化から日本の食文化へと昇華し、すでに全国で市民権を得て、確固とした地位を築くに至った。
保守的な食嗜好の中にも、全国に通用する食文化が九州にあり、そのポテンシャルは高い。(九州支局長=堀江勝)
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◆九州夏期特集:歴史が示す食嗜好 各県、独立的市場を構成
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