九州つゆ特集

調味 2020.04.06
九州つゆ特集

 全国、九州含めつゆマーケットは安定期に突入しているが、昨年は冷夏、長雨に影響され、各社、苦戦の様相を呈した。市場調査によると1割前後の落ち込みが散見され、季節商材としてマイナス部分が露呈した。
 だが、季節的要素だけでは判断しづらい。近年、夏場の休日に家族がひと鉢のそうめん料理を囲むという光景は大きく減ったものと推察され、特に近年は猛暑、酷暑が続き、エアコンを活用する機会が増え、冷たいそうめんで涼を取るということも必要でなくなったともいえる。
 めんつゆの最大の敵はエアコンともいえ、むしろ、冷え切った部屋では温かいものが好まれるという皮肉な現象も起きている。
 つゆが商品化されて30年が経過し、発売当初は市場が毎年拡大し、各社2桁増が何年も続いた。拡大市場は当然のように、新規参入が相次ぎ、市場は数多くの参入メーカーで混戦状態となる。
 九州地区でも九州醤油メーカーが先行し、市場を占有していた時代があったが、その後、全国メーカーの進出で、次第に業界相関図は変貌してきた。
 ここでは参入と撤退を繰り返し、現在は拡大期から成熟期を迎え、安定市場といえばそうだが、市場拡大には新たな施策が各社に求められている。
 キーワードはめんつゆから料理つゆで、各メーカーの提案活動は活発化している。その結果、具材豊富な一つの料理として麺料理を扱い、それにぶっかけるという傾向も強まってきた。
 つゆはもちろん醤油を基礎ベースにする嗜好(しこう)性の強い商品で、やはり、各県に存立する醤油メーカーがつゆを商品化し、地域に根差したつゆは安定した売上げを誇っている。
 だが、近年、全国メーカーの侵攻で九州地元メーカーのシェアは圧され、九州全体では、統一的な商品を生み出す全国メーカー、各県の地元メーカーが存在する地域で善戦しているのが現況で、市場競争は九州、全国含めて混戦状態が続いている。
 つゆが年間化への定着をみたものの、夏場に大きくその売りが集中する構図は変わらない。やはり、季節商材として、売り切る心理も働いて、市場は泥沼化の様相を呈している。(九州支局長=堀江勝)