農林水産省・組織再編
●交錯する不安と期待
農林水産省の食品産業政策が7月1日付の組織再編によって転機を迎えた。11年9月に発足し、それまで中枢を担った食料産業局を廃止。その心臓部を大臣官房の下の「新事業・食品産業部」へと移行した。「局」から「部」への再編によって食品産業政策の後退を不安視する声もある一方、省のかじ取り役でもある大臣官房に設置されることに、期待感を示す声もある。食品産業政策はどう変わるのか。
新たな部には筆頭課となる「新事業・食品産業政策課」および「食品流通課」「食品製造課」「外食・食文化課」が連なる。そのうち「政策課」には食料産業局の総務課・企画課・産業連携課の3課が統合された。一方、新設局の「輸出・国際局」が輸出関連業務を統括する形となる。
農水省は5月、農林水産業・食料の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するための長期ビジョン「みどりの食料システム戦略」を策定。野上浩太郎大臣は組織再編に関し、会見で「持続可能な食料システムの構築に向けた具体的政策を強力に推進する」と力を込めた。また政府レベルでは、「農林水産物・食品の輸出拡大のための関係閣僚会議」が具体策を足早に固めつつある。
生産力向上・持続可能性・輸出拡大–が今後の農政のキーワードとなるなか、日本食糧新聞社は食品産業政策を統括する新たな部を担うキーマンに、今後の政策の方向性やテーマごとの課題と対策などを聞いた。=肩書きは取材当時(再編前)のもの(本宮康博)
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