焼肉のたれ特集
◆焼肉のたれ特集:巣ごもりで汎用性に支持 内食増応えるアレンジメニュー
20年の焼肉のたれ市場は、コロナ禍で内食需要が高まり好調に推移した。外食控えが続く中、調理家電としてホットプレートが人気となり、家庭で焼肉を楽しむ機会が増えている。焼肉のたれは、その万能度や汎用(はんよう)性の高さから焼肉以外にもさまざまな料理に使われている。内食需要を支えるカテゴリーの一つとして、「おうち時間」を彩る豊かな食生活に貢献している。(三井伶子)
●家庭用の販売好調
21年3月期の焼肉のたれ市場は、前年比6.3%増の269億円で着地したとみられる。外食自粛で焼肉の食卓登場頻度が増え、それに伴い焼肉のたれの販売も伸びた。家庭で食事を作る回数が増える中、調味料としての汎用性も支持された。容量別では全般的に好調だったが、今まで焼肉のたれを使わなかった消費者がトライアルで購入し、小容量の販売も伸びた。サブカテゴリーではごちそう需要を得てステーキソースが好調だった。家庭用商材が伸長した半面、業務用は外食低迷の影響などから苦戦した。
焼肉のたれの需要期は、ゴールデンウイークを挟む4~5月とお盆が大きな山となる。昨年は特に上期の伸長率が高く、下期も前年を超える伸びを示した。夏休み期間の短縮や店頭での販促やイベントの自粛などから、8月29日の「焼肉の日」を中心に8~9月は市場の盛り上がりを欠いた。
焼肉のたれ以外の肉まわり調味料は、弁当需要の減少やおうち時間の増加で、基礎調味料で一から料理を作る人が増え、「生姜焼のたれ」などのメニュー調味料は苦戦。一方で、サブカテゴリーの中でも好調だったステーキソースは前年比2桁以上の伸びを示すメーカーもあった。
そうした中、エバラ食品工業は「黄金の味」が新たなフレーバーとして展開した「さわやか檸檬」や「旨にんにく」をフックとして既存ラインアップの露出強化につなげ、前期の肉まわり調味料群売上高は前年比4.6%増の162億2000万円で着地した。
キッコーマン食品は「わが家は焼肉屋さん」が発売以来、右肩上がりに成長を続け、取り扱い店舗を広げている。前期は「にんにくだれ」を特に伸ばし、昨春発売の「超焼肉のたれ」と合わせて業績に上乗せした。
モランボンは前期、同16%増の241億5400万円で着地。今春夏は「ステーキソース」を積極的に訴求する。焼肉まわりの商品では「クッパ」や「ユッケジャンクッパ」がテレワークのランチメニューにも最適で需要増につながった。
日本食研は、コロナ禍による内食需要増の影響で本格的な味が食卓で味わえる点などが支持され「トンテキの素」や「スペアリブソース」「日本食研ステーキソース」などが好調に推移した。
ダイショーは、20年焼肉のたれ販売が同2桁増となった。家庭内での焼肉料理が増え中容量サイズが好調で、今期は小容量商品を投入し力点を置く。
昨年は店頭での試食ができなかったのは、各社大きな痛手となった。煙やにおいで誘発して試食や購買につなげる活動がほとんどできず、特に味に特徴がある新商品を店頭で伝えることが難しい一年だった。今後も試食による販促ができる見通しが立っていない中、メーカーはサンプリングをはじめ、代わりとなる手法を模索している。
エバラ食品工業は「旨にんにく」「さわやか檸檬」の小袋試供品を作成し精肉のオンパックとして提案。キッコーマン食品は「超焼肉のたれ」の小袋を弁当や惣菜などに添付し、トライアルを促進している。
汎用性が高い焼肉のたれは、焼肉以外にもさまざまな料理に使われている。日本食糧新聞社が運営する働くママ向けメニュー提案サイト「たべぷろ」は、働く母親を応援するベスト時短レシピを読者投票で決定。1位に選ばれたのは「焼肉のたれと炊飯器で作るビビンバ」だった。ごま油の風味に特徴がある焼肉のたれは、中華・韓国メニューとも親和性が高く、例えば麻婆豆腐や回鍋肉といった中華メニューにも合う。
店頭での販促が厳しい状況の中、メーカーはSNSなどを活用した施策を強化している。内食増に応える簡単・時短レシピのほか、牛肉と比べて価格が抑えられる豚肉・鶏肉メニューの提案にも力を入れる。コロナ下の日常に寄り添うメニューを発信し、消費者の節約志向に応えている。
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