加工ごま特集
◆加工ごま特集:付加価値品拡大続く 品揃え強化、売場活性化目指す
21年の加工ごま市場は、家庭用は巣ごもり特需が落ち着いたこともあり、前年並みもしくは特需分の減少が目立つ。コロナ前と比較すると家庭用は堅調、業務用は落ち込む構図に変化はない。家庭・業務用をバランス良く販売し、外部環境による影響を最小限にとどめていくことが重要となる。コロナ禍で家庭用の有機ごまなど付加価値製品は拡大しており、引き続き使用を促すための施策が求められる。(三井伶子)
KSP-POSによると、ごまカテゴリーの21年1~11月の販売金額は前年比4.6%減、販売数量は同5.4%減となっている。21年は昨年の反動はあったものの、家庭用はおおむね堅調に推移した。一方で、外出制限が長期化したことで外食向けなどの販売が落ち込んだが、業務加工用は若干増加。ごま製品全体では前年比微増で推移しているとみられる。
家庭用は昨年に続き有機製品が好調。通常製品より高単価のため、各社売上げが堅調に推移している。家庭用は全体的に堅調だった中で、特に練りごまパウチ、有機ごま、金ごま、あえ物用を含む調味ごま各種が好調だった。メーカーは通常のいりごま・すりごまとともに練りごまや付加価値製品の品揃えを強化し、売場の活性化を目指している。
コロナ禍で家飲み需要が増える中、11月25日放送のバラエティー番組では芸人が家飲みのお供として、岩下食品の「岩下の新生姜」に真誠の「うまかあじすりごま金」をたっぷりかけて食べていると紹介。その後、SNSで話題となった。
業務用は2年越しのコロナ禍で、外食向けなどは苦戦。昨年より回復傾向にあるものの、学校給食、土産物、外食関係は完全に回復できていない。業務用練りごまは、外食不振とあわせて担々麺など使用メニューの露出減少が影響した。一方、昨年大きく落とした観光向けの米菓や惣菜向けなどの回復が見られ、後半からは業務用全体でわずかな増加が見られる。
メーカーは外食や観光地向け販売はコロナ後も100%戻ることはないと考え、新たな販売先を開拓している。中食やテークアウト向けの小包装へのニーズなど、コロナの影響と思われるオーダーも見られた。業務用製品は作業効率(重量)やロス(使い切り)の観点から、1kg包装の需要が増えている。
海外向け輸出は比較的好調を維持している。一昨年までは戻っていないが、前年比30%増と売上げに貢献した企業もある。昨年のような受注分の一斉キャンセルといったことも今年は見られない。国内の減少分を輸出によって少しでも補いたいメーカーもある。
ある調査によると、加工ごま市場は20年前と比較して使用量ベースで20%、金額ベースで40%程度増加している。使用量の増加は加工製品へのごま使用が増えたことが最大要因と思われる。その背景には、ごまが健康素材としての認識が広まったことが大きい。そうした中、全国胡麻加工組合の冨田博之理事長(真誠社長)は「業界全体で健康に寄与するごまの成分の研究を後押しする活動が求められる」と呼び掛ける。
コロナ禍で引き続き健康志向が高まっており、ごまの栄養価値を訴求し、生活者の認知をさらに向上させていくことが重要になる。特にごま油は引き続き成長が見込まれることから、市場全体の動きに合わせて商品を投入していく必要がある。ネット販売の強化や、ごま単体から複合原材料による消費者ニーズに合った商品の開発、提案が求められる。業務用については、外食産業の復活に対応するため商品規格の見直しが課題となっている。SDGsの観点から、パッケージの見直しなどで賞味期限の延長を業界全体で検討する動きも見られる。
原料事情について輸入穀物相場が上昇傾向にあり、ごま原料の仕入れ価格が上がっている。原料相場の高騰によるごま製品価格の見直しを検討する動きが見られ、22年は値上げの動きが予測される。原料高を考慮した価格改定の実施が必須の局面となっている。
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◆加工ごま特集:付加価値品拡大続く 品揃え強化、売場活性化目指す
農産乾物 特集 2021.12.2421年の加工ごま市場は、家庭用は巣ごもり特需が落ち着いたこともあり、前年並みもしくは特需分の減少が目立つ。コロナ前と比較すると家庭用は堅調、業務用は落ち込む構図に変化はない。家庭・業務用をバランス良く販売し、外部環境による影響を最小限にとどめていくこ…続きを読む
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