健康寿命を延ばす習慣づくりへ福岡の企業・行政・医療が一体となった県民運動

健康づくりといえば「バランスの良い食生活」「適度な運動」「十分な休養」が3大柱。加えて禁煙や適正飲酒が含まれる。これらを実行するのは、今までは個人に任せることが多かったが、最近では行政や企業が率先して健康づくりを後押しする体制になってきている。福岡県では2018年から「ふくおか健康づくり県民運動」として、県内の医療、企業、行政などが一体となりサポートする体制を整えている。その一環として行われた、「第1回チャレンジ!レシピコンクール」と最近スタートした「ふくおか健康ポイントアプリ」について紹介する。

フレイル予防が含まれたレシピコンクール

「チャレンジ!レシピコンクール」は昨年度初めて開催された。テーマは「野菜もう一皿、塩分ひかえめで!」。健康づくり運動の柱の一つ、「食生活の改善」の行動目標である「1日350グラムの野菜摂取」「1日あたり約2グラムの減塩」を実践できるレシピが募集された。

生活習慣病予防の基準は1食あたり450〜650kcal、食塩相当量2.5g未満、使用する野菜量120g以上であるが、フレイル予防の献立はタンパク質量や、カルシウム、鉄分、ビタミンDの摂取について考慮することや、高齢者が食べやすいよう、軟らかく、まとまりがあり、飲み込みやすい形状であることが必須となっている。

フレイル予防部門の入賞レシピ。食べやすさ、飲み込みやすさもポイント

一般的な生活習慣病予防だけでなくフレイル予防レシピが含まれているのは、歩くことができる自立した高齢者を増やすことが、県民の健康寿命を延ばす重要条件として考えられているからであろう。

合計80以上の応募の中、3部門(生活習慣病予防<学生・一般>、フレイル予防)1~3位が選ばれ、9組のレシピがホームページで紹介されている。

令和元年度「チャレンジ!レシピコンクール」入賞レシピについて(ふくおか健康づくり県民運動情報発信サイト)

どの献立も野菜たっぷりで、ボリューム満点でも低カロリー

生活習慣病予防レシピ1位は伝統食材のアレンジ

生活習慣病予防(一般部門)の1位は、伝統食材を利用した和食の献立であった。和食は健康に良いというイメージがあるが、味噌、醤油を使うので、実は塩分が高くなりがちである。

この献立のポイントは、減塩でもおいしく感じるために乾物や発酵食品を活用していることだ。切干大根をスパゲティに見立てたカルボナーラ風、黒豆をご飯に混ぜることで、香ばしい風味と食感がアクセントになる。またコロッケの衣をおからパウダーにして風味を増したり、味噌汁に甘酒を入れて甘味を加えることで、味噌の量が少なくても塩分を引き出すことができるのだ。

生活習慣病予防(一般部門)の1位の献立。乾物と発酵食品が減塩の立役者

この献立作成には筆者も考案に関わったのだが、乾物や発酵食品の素晴らしさをあらためて認識することができた。惣菜や加工食品をよく食べている現代人は濃い味に慣れているが、日ごろから栄養バランス、カロリー、減塩を意識した食生活を送ることが、健康寿命を延ばすことをもう一度しっかりと意識してほしいと思う。

健康ポイントアプリの協力店になりイメージアップ

福岡県が健康づくりに開発した、「ふくおか健康ポイントアプリ」では、体重記録、日々の歩数や健康診断を受診することで、ポイントが付与される。

県民はそのポイントを協力店(飲食店や事業所など)に提示すれば、ドリンクサービスや割引、景品などの特典をもらえるというわけだ。登録した協力店にはステッカーが配られ、「健康づくりを応援している店」としてイメージアップが図れると、県は現在登録店を募集している。

体重記録、日々の歩数や健康診断を受診することで、ポイントが付与される

飲食店以外にも、食品小売店や運動施設、美容サービスなど多岐にわたる業種に広がることが期待されている。

「健康づくり」に最も重要なことは「継続できる環境」である。たった1回の完璧な食事より、減塩、野菜たっぷりを意識して食べることが数倍も健康には価値がある。毎日アプリを開き、生活状況を入力し、歩数を稼ぐ。その習慣が健康寿命を延ばすのだ。

地域の健康づくりに積極的に関わり、地域住民に愛される飲食業界になることを目指し、食生活を継続的にサポートする新サービスや新商品を作っていくことが、今後さらに必要とされている。(管理栄養士 大山加奈惠)