ストレスを減らしコロナ太り防止…ウィズコロナ時代の間食を管理栄養士が提案
「コロナ太り」の原因は、外出自粛による在宅時間の増加による運動不足と食事量の増加、3食に加え間食の回数や量が増えたことにある。今後も仕事や授業のオンライン化が進み、人との接触を防ぐために買い物などの外出を少なくするなど「新しい生活様式」に変わると、「コロナ太り」の原因が通常の生活の中にある状態になるのだ。間食は太るイメージだが、体重コントロールの際には間食の選び方が成功の秘訣でもある。管理栄養士の視点で、ウィズコロナ時代の間食の付き合い方についてまとめた。
リフレッシュできて幸せを増やす食品の選び方
間食は菓子類と同義語ともとらえられがちだが、菓子類は昔から食生活に潤いや楽しさ、和やかさを与え、栄養補給にも役立つものとして特別な地位を占める食品である。幼稚園でおやつを与えないと、子どもたちのイライラが高まり、情緒不安定になり、けんかが増えるという話も聞いたことがある。
コロナ太りの原因は、運動不足や食事や間食の量が増えたことに加えて、ストレス増加も関係があるとするならば、間食でストレスが軽減できるとすれば有効ではないか。食事に支障がなく、エネルギー過多にならないおやつとしてのカロリーの目安は、100~120kcalだ。
ここでストレス解消に役立つ栄養素を取り上げてみる。
<トリプトファン>
必須アミノ酸のトリプトファンは、心のバランスを整える幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの材料だ。トリプトファンは大豆やごまなどに多く含まれ、セロトニンを合成するときに必要なビタミンB6は玄米、小麦胚芽に含まれる。
大豆をそのまま素煎りしたものが売られているので、スナック類の代わりに選んでみよう。食べる目安は20g程度=約90kalで、量的にも満足感が得られる。
カルビーの「ミーノミックス」は、枝豆、黒豆、カシューナッツを1袋で3種を楽しめる。カシューナッツが入っているので、カロリーは少しオーバーするが、枝豆、黒大豆の大豆パワーを摂取できるのは嬉しい。1袋27gと食べきりサイズになっている。
大塚食品の「しぜん食感 SOY こんがりしょうゆ大豆」は、手軽にたんぱく質補給を訴求しているがストレス軽減の間食としてもおすすめできると考える。また神経の興奮を抑えるカルシウムも同時に摂取できるのも嬉しい。
大塚製薬の「ソイカラ」は、糖質の吸収が穏やかな低GIスナックなので、体に負担がかかりにくく、腹持ちも良い。
納豆の大豆の仲間で発酵食品、健康食材の一番手にも上がる。納豆を素材にしたお菓子も出ている。カンロの「プチポリ納豆スナック醤油味」なども活用したい。摘んで食べられ、納豆パワーを手軽に取れる。
<グレープフルーツの香り>
爽やかな香りは気分をリフレッシュしてくれるものだが、グレープフルーツの香りは情緒が安定したり、リラックス気分が高まるという報告がある。また脂肪分解を促進させ、エネルギー消費を促進させ、体温を上昇させるなどの効果があるといわれている。
グレープフルーツ味のガム、飴、ゼリーなどは比較的カロリーも低いので、罪悪感がなく食べられる。
間食の本来の位置づけが、楽しさ、潤いを与えるものと考えるならば、食べることで幸せ感を増やす、リフレッシュできることを訴求することが、ウィズコロナの間食には必要であると考える。
するめや昆布など日本伝統の食材が間食におすすめ
昨今の和食離れから、するめ、昆布、コンニャクの消費量は年々落ちている。実はこれらは管理栄養士の立場から見ると、間食にはぴったりの食材なのだ。
メタボ該当者への栄養指導では、間食をお菓子からするめに変えることをすすめている。かみごたえがあるするめを食べることで咀嚼する回数が増えて満腹感が得られ、体重減少に成功する人が多い。味付けのするめでなく、天日干しのものがよく、さらにするめは塩分が高いので、減塩のものを探そう。スティック状のものより、一口で食べられる短冊型のタイプが使いやすい。
昆布はうま味成分、グルタミン酸ナトリウムを多く含んでいるが、この成分は食事を唾液や胃酸の分泌を増やしたり、食事の満足感や食欲コントロールに関与している可能性があることが分かってきた。また昆布はするめと同じように、かみごたえがあり低カロリーである。おやつ用昆布には味付けしてあるものが多いので、自宅用にはだし昆布をカットして食べることをすすめている。
コンニャクは昔ながらの食材だが、みなさん、最近食べたのはいつだろうか。食物繊維たっぷり、低カロリー、糖質オフでダイエットの強い味方だが、そのままおやつに食べることは少ないだろう。しかし、コンニャクゼリーが長く人気商品であることからニーズが高いということだ。
コンニャク麺や刺身コンニャクなど、食事用のコンニャク加工食品は増えているが、デザートはまだ少ない。コンニャクをわらび餅風にしたものが市販されていた。抹茶味、みたらし味、コーヒー味など他の味付けができたり、タピオカの変わりに使う、コンニャクミートが広まったりなどコンニャクのおやつ市場への進出を期待したい。
アサヒグループ食品は味付けしたコンニャクを乾燥させて、チップにしたお菓子「もぐカミファイバーこんにゃく」を販売している。乳酸菌を添加しており、おなかのお掃除を訴求している。食物繊維は通常の食生活では不足しがちなので、間食で取れると嬉しい。
ダイシンフーズは、コンニャクを薄切りにして乾燥させて揚げた「カルイット こんにゃくせんべい」を販売している。味はコンソメ、柚子コショウ味など7種類だ。
DHCは、噛むたびにおいしい満足感として「DHCこんにゃくジャーキー」を販売。脂質、コレステロール0、カルシウム、食物繊維が取れるのが売りだ。
昆布、するめ、コンニャクは、今まで私たちの食生活の中で健康をサポートする食材であったが、食べる回数が減っているのが現実だ。これからは和の食材を間食として、おいしく食生活に取り入れて行くことも、自分の健康維持と同時に、日本の農産物・海産物を守る意味でも重要ではないだろうか。(管理栄養士 大山加奈惠)