海外でも通用するブランドを確立した日本固有ブドウ品種「甲州」

南北に長い日本では、多様なテロワールの中で多くのブドウ品種が栽培されワインが作られている。その中でも日本ワインに大きな影響をもたらしている日本固有ブドウ品種「甲州」が、数々の国際的なコンクールの受賞を経て海外でも注目される存在となっている。

国際的なワインコンクールで注目

KOJ(Koshu of Japan)の発足や、仏ボルドー大学との共同開発である「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香」の誕生などにより世界的にも認知がじわじわと広がってきた「甲州」。

日本ワインに大きな影響をもたらしている「甲州」

大きく存在感を示したきっかけに「デカンタ・ワールド・ワイン・アワード 2014(DWWA)」がある。DWWAは数ある国際ワインコンクールの中でも最大級ものだが、この年、日本ワインとして初の金賞およびリージョナルトロフィーを「グレイスワイン キュヴェ三澤 明野甲州2013」が受賞したのだ。これにより「甲州」の世界的注目度が大きく上昇した。その後、グレイスワイン(中央葡萄酒)の「甲州」は2019年まで6年連続金賞を受賞している。

また、DWWAと並び世界的権威のあるワインコンクール「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」(IWC)では、2020年に「グラン・シャンモリ 甲州シュール・リー2018」が金賞受賞、2021年ではオレンジワイン部門で初めて「シャトー・メルシャン 笛吹甲州グリ・ド・グリ 2019」が金賞を受賞した。

「シャトー・メルシャン 笛吹甲州グリ・ド・グリ2019」

独特な渋みを持つ希少品種

「甲州」はワインの地理的表示(G.I.)にも指定されている山梨県での栽培が圧倒的だが、日本各地で「甲州」の栽培は広がり、国内ワインコンクールでもさまざまな地域の「甲州」のワインが受賞している。近年におけるこれら快挙は、日本ワインといえば「甲州」という印象を強く根付かせている。

「G.I.yamanashi」の表記

ほのかな甘味にわずかに渋味が感じられるのが「甲州」の特徴。2020年、東京農業大学と山梨大学との共同研究による「甲州」のゲノム解読で、欧州のブドウと比較し異なる機能性があることがわかった。ポリフェノールや風味に関連し、「甲州」ならではの香りや渋みが遺伝的に証明され希少性が一層高まったといえる。

日本固有品種である「甲州」は国内のみの栽培であったが、近年ドイツでも栽培されラインガウの「甲州」ワインが誕生している。国外の「甲州」は「ミッテルハイマー・エーデルマン ラインガウ甲州」のみだ。

参考サイト:
日本固有のワイン用ブドウ品種「甲州」のゲノム解読と特徴付けに成功|東京農業大学
日本固有のワイン用ブドウ品種「甲州」のゲノム解読と特徴づけに成功|山梨大学

幅広い種類の料理に調和

世界的に認知は広がり、なおかつ固有のブランド力を維持する「甲州」の訴求ポイントはわかりやすく強い。幅広い種類の料理に調和し、他にはない個性がしっかり感じられる。多くの需要を満たす要素が詰まっており、消費者に合わせたアプローチが可能だ。世界での存在感が増し、これからますます伸びていく「甲州」のワインに目が離せない。(栄養士ライター 瀬山野まり)