和食とマッチするオーストリアワイン 多様性に富むオーガニック大国の存在感増す
ワイン銘醸地ブルゴーニュとほぼ同緯度に位置し、ワイン文化も盛んなオーストリア。日本へのオーストリアワインの輸出量は増えており、需要は上昇しているものの日本人にはまだ馴染み薄いのが現状だろう。今回は和食とペアリングもしやすく、幅広い顧客のニーズにマッチしやすいオーストリアワインの魅力を紹介する。
欧州屈指のオーガニック大国
オーストリアは農地総面積のうち有機栽培農地が20%を超える(2019年オーストリア農林省)。欧州でも屈指のオーガニック農業国である。ブドウ栽培においても約13%がオーガニック農法であり、サスティナブル栽培にも力を入れている。世界で拡大を続けるオーガニック市場において、オーストリアのオーガニック大国としての存在は大きい。
日本でもオーガニックに対する関心は高い。また、農林水産省による「有機食品等の消費状況に関する意向調査」によると、「国産・外国産のこだわりがない」と回答した割合は、「飲料(ワイン・ビールなど)」が71.5%と最も高い結果となっている。オーガニックワイン需要が高まる中、日本国内でのオーストリアワインの輸入が増えているのは必然といえるだろう。
参考サイト:
オーストリアのブドウ畑における持続可能性 Austrian Wine
有機食品等の消費状況に関する意向調査(PDF)
自然の味を生かすオーストリア料理
オーストリアの料理文化は、欧州諸国との歴史あるつながりから多様性に富む。連綿と続く料理の歴史は洗練されて今につながっている。うま味を重視しさっぱりと塩で味付ける素材の味わいを生かした料理も多い。例えばウィーンの伝統料理「ターフェルシュピッツ」は、シンプルに味付けてやわかく煮込んだ牛肉をすりおろしたリンゴやホウレンソウのペーストなどに付けて食べるもの。日本人も親しみやすい料理ではないだろうか。
それらと調和するワインは、和食とも合わせやすい。オーストリアワインの代表品種の一つ「グリューナー・ヴェルトリーナー」はさっぱりとした塩胡椒の香り、強すぎない酸味、とろりとしたなめらかな舌触りがある。辛口から甘口までさまざまなスタイルがあるが、オーストリアワインは辛口が主体だ。食事と一緒に飲む辛口の「グリューナー・ヴェルトリーナー」は、甘味やうま味、酸味が内包する和食全般との相性が良い。揚げびたしや、甘酢を使う料理などはとてもよく合う。
格調高い印象を与えるスクリューキャップ
ワインにおいて土壌の違いによる味わいの変化は顕著に表れる。オーストリアは東に産地が集中しているものの、極めて多岐にわたる土壌となっており、同品種であってもまるで異なる味わいが楽しめる。ドイツと同じ品種を使うワインもあることで、ドイツワインと似ていると考える人もいるが、実際は違う性格だ。オーストリアはドイツよりも温暖な気候なのでふくよかな味わいとなりやすい。また、辛口主体で日常的に食事とともに味わえる。
もはやカジュアルなイメージも払拭されつつあるスクリューキャップが多いことも手に取りやすい理由の一つだ。オーストリアワインのスクリューキャップには国旗を表現した「赤・白・赤」のデザインに国家管理番号があり厳格な品質管理の証明となっている。格調高い印象を与えるスクリューキャップのデザインは高価格帯のワインであっても遜色(そんしょく)はない。
オーストリアワインのポテンシャルは高く、さまざまな特徴があることでセールスプロモーションも打ちやすいワインである。初めてワインを手に取る人にも推せるワインと考えている。(栄養士ライター 瀬山野まり)