みりん類・料理酒特集

◆みりん類・料理酒特集:“本物志向”を追い風に SNSなどで調理効果訴求

調味 2020.02.07 12010号 08面

基礎調味料のカテゴリーである「みりん類・料理酒」。国内では少子高齢化、人口減少が進むとともに、共働き世帯が増加する中で、家庭では簡便性に優れたメニューが人気を集めており、みりん類・料理酒をめぐっては大幅な需要増を見込むには厳しい状況だ。また若い世代へのみりん類・料理酒の調理効果についての認知度は決して高いとはいえない。

こうした中、19年10月に消費増税が実施された。食品は消費税率を8%に据え置く軽減税率(一部商品は10%)が適用されたが、本みりんは酒類に該当するとして、10%に増税された。増税前には駆け込み需要が発生。メーカー側からは、本みりんの持つ調理効果の価値を訴求できるとして、メニュー提案などに力を入れてきた。

13年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて以降、国内外で和食への関心度は高まっている。和食の基礎調味料であるみりん類・料理酒にとっては大きな追い風となっている。

家庭での料理機会は減少する一方、惣菜・中食市場は伸長の一途をたどる。加工業務用市場では、現場の課題解決に取り組むことで、市場のさらなる活性化を目指す。(藤林敏治)

全国味淋協会によると、19年1~12月累計の本みりん(一種みりん)課税移出数量は6万9350kl(前年比0.4%減)で着地した。19年10月の消費増税に伴い、酒類に該当する本みりんも増税された。増税前の9月は同13.1%増と大きく仮需が発生。18年10月~19年9月は同1.8%減だったが、19年1~9月は同1.0%増と回復。10、11月に仮需の反動が出たが、12月は同1.6%増となった。

メーカー各社はこれまで、ユーザーのニーズをつかむべく、多様な戦略を展開してきた。例えば容量では大容量から500mlなど、使い切れて手に取りやすい中小容量サイズを強化。容器では従来のPETボトルに加え、紙パックやパウチ容器を揃える。また使いやすさを追求する点から、キャップに細口と広口の2段式を採用し、注ぐ量を簡単に調節できる「らくらく調節ボトル」の開発事例も。

食の「安全・安心」、「本物志向」の高まりから、みりん風調味料から本みりんへ消費者のニーズはシフトしているといわれる。本みりんの持つ上品でまろやかな甘み、コク深い味わいを与える調理効果の訴求も欠かせない。肉じゃがや卵焼きなど和食はもちろんのこと、カレーなどの洋食や中華など、幅広い用途に使えることをSNSなども通じて紹介し、需要の掘り起こしを図る。

参加、体験型のイベントを通して本みりんを身近に感じてもらう取組みも。宝酒造は毎年、「田んぼの学校」と題した環境教育イベントを開催。親子でコメ(もち米)の田植え、稲刈り、コメからできる本みりんを使った料理体験の機会を提供している。

一方、「本みりんの日」(11=いい、30=みりん)に合わせて、全国味淋協会と全国本みりん協議会は、本みりんをPRするイベントを実施している。

一方、本みりんだからこその深いコクを楽しんでもらおうと、カフェでは調味料としてではなく、カクテルに使用するという活用例も見られる。

一方、「価値訴求」の本みりんに対して、みりん風調味料は「価格訴求」の面もある。

料理酒では、健康志向の高まりを受け、〈糖質ゼロ〉商材が人気を集めるなどしている。

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