糖質最前線バランス食特集

糖質最前線バランス食特集:上野砂糖・上野誠一郎社長 サトウキビは平和防衛作物

総合 2019.04.10 11860号 06面

上野誠一郎氏(上野砂糖社長)は砂糖類の消費者誤解の解消や消費拡大にも熱心に取り組んでいる。とかく悪者にされがちな砂糖について大いに語ってもらった。(聞き手・服部泰平)

サトウキビは「平和防衛作物」だ。尖閣諸島はカツオ漁業や鰹節の製造が衰退し、無人になったことで領土問題に発展している面がある。沖縄の離島にとって台風に強いサトウキビは貴重な産業。もしサトウキビ栽培が成り立たなくなれば、島民がいなくなって尖閣諸島と同じ運命をたどるかもしれない。何十億円、何百億円という軍備を用いずとも、サトウキビ一本一本が離島防衛を担っているのだ。そのことを知ってほしい。またサトウキビもテンサイも光合成により水と二酸化炭素から糖質を作っているので、地球温暖化を防いでくれる。砂糖は最高のエシカル食品(使うことで環境や社会問題解決に役立つ食品)なのだ。

また、現在の日本人の一年間の砂糖消費量はたったの16kg。欧米諸国は日本の2~3倍以上消費しているのに比べて“少なすぎる”のだ。1970年代、日本が元気だったころの砂糖の年間消費量は30kgほどあった。そのころの半分近くに減少した今の日本が、当時に比べてエネルギーに満ちあふれているだろうか。少なくとも成人病の人は増えている。

昨今、災害備蓄食品で砂糖類が見直されている。砂糖は、アレルギーの心配のない食品だ。学校などで災害備蓄をしても「アレルギーで食べられない生徒がいる」となれば生死にかかわる。災害備蓄には砂糖を必ず加えてほしい。防災安全協会主催「防災製品大賞2018」災害食・非常食部門で当社の「災害備蓄用 焚黒糖」が銀賞を受賞した。さらに金賞は中日本氷糖の「備蓄氷糖」だったことがわが事のようにうれしい。いざという時の砂糖類の良さがさまざまなところで見直されつつある。

われわれのゴールは「日本人を甘くておいしい砂糖で元気で健康にすること」だ。そのためには各ユーザーと消費者が何を求めているかをしっかり見極め、人間の60兆個の細胞に不可欠なものであることを理解してもらうか、こつこつとした努力で日本の“少なすぎる”砂糖の消費量を増やしていくしかない。

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