加工ごま特集

◆加工ごま特集:変化沿う対応を 新視点で販促策

農産加工 2021.07.26 12266号 06面
家庭内調理の増加で定番品の回転などに支えられた

家庭内調理の増加で定番品の回転などに支えられた

 加工ごま市場は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で外食向けなどの業務用需要が著しく減少したが、家庭内調理の増加で定番商品の回転や付加価値商品の好調に支えられた。健康的な食生活を意識する人が増えたことから、昨年は春先以降に需要が拡大。現在は落ち着き、昨年より若干減で推移している。(三井伶子)

 KSP-POSによると、ごまカテゴリーの20年1~12月の販売金額は前年比2.9%増、販売数量は同2.8%増と、金額・数量ともに前年を上回る結果となった。

 家庭用はコロナ禍での巣ごもり需要があり、定番商品のほか有機ごまや金ごま、練りごまといった付加価値商品の販売が伸びた。一方で、小売店で集客につながるチラシ特売やマネキン販売などの販売自粛が行われ、今年もその傾向が続いている。特にごまなど乾物の販促は採用されにくく、販促での売上げ獲得が厳しい状況となっている。

 業務用は外食向け、観光地向けは低迷したが、加工ユーザー向けは堅調に推移している。外食向けは緊急事態宣言による営業自粛の影響で大幅に減少していたが、回復の兆しが見え始めている。コロナ禍で厳しい時期もあったが、全体では量販店向けなどの好調に助けられ大きなマイナスにはならなかった。

 アイテム別では練りごまが売上げの上位を占め、一部スーパーのPBなどは大きく伸びた。有機ごまや国産ごまはECサイトを中心に好調を維持している。今期は、引き続き業務用ではコロナ禍の影響で出荷量が低迷する中、好調の中食や惣菜関連への提案強化や、有機ごまや金ごまといった原料特徴が伝わりやすい商品の提案強化を図る企業が多くみられる。コロナ後を見据え、業務用の需要回帰を待たず新規ユーザーの開拓も進める必要がある。国内市場が見通しづらい中、グローバル化や海外へのアプローチを強化する動きもある。

 コロナ禍で消費者の食事形態が内食、中食へシフトする中、消費トレンドの変化に沿った対応策を打ち出せるかが課題となる。消費者の購買動向に注視しながら、新たな売場展開や商品展開が求められる。巣ごもり需要により増加した家庭用の定番化や維持拡大のためにも、メニュー提案などの販促を強化していきたい。

 ごまの持つ栄養や機能性を考慮すると、市場の見通しは明るいと考えられる。市場全体を拡大するためにも、新しい視点からの販売促進策や業界全体の起爆剤となるような企画が待たれる。潜在需要はいまだ高く、特に練りごまは製品特性、使用用途をアピールすることで、さらなる需要増加が見込まれる。

 コロナ禍でもごまの需要は世界的に堅調で、日本は20年輸入量が過去最高を更新した。一方、世界的なコンテナ不足は現在も解消されず、海上輸送の高騰や混乱が続いている。穀物相場が高騰する中、ごまの価格上昇を懸念する声もあり、動向を注視する必要がある。

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