コーヒー・コーヒー用クリーム特集

◆コーヒー・コーヒー用クリーム特集:新たな体験や楽しみ方へ提案加速

飲料 2019.09.20 11943号 06面
表情豊かなロボット店主がコーヒーをサーブ。人手不足解消への貢献も(UCCホールディングス)

表情豊かなロボット店主がコーヒーをサーブ。人手不足解消への貢献も(UCCホールディングス)

コーヒーを通じた睡眠不足の解消へ(写真はネスレ日本「出張眠らせ隊」サービスの模様から)

コーヒーを通じた睡眠不足の解消へ(写真はネスレ日本「出張眠らせ隊」サービスの模様から)

写真提供=スターバックスコーヒージャパン

写真提供=スターバックスコーヒージャパン

国内のコーヒー市場はここ数年、レギュラーコーヒー(RC)を中心に社会的なコーヒーに対する関心や知識の高まりで、国内消費の伸長を継続してきた。現在は一服しているが、コーヒーに対する嗜好(しこう)の多様化や高度化は進み、家電量販店での大型展開など新たな変化が起きている。加えて、従来は産地やブレンド、焙煎(ばいせん)などに対する興味や知識の高度化に対応する提案が主だったが、現在は「コーヒーポリフェノール」などを主とする“コーヒーの持つ健康や美容機能”の訴求が目立つ。このカラダの健康に加えて、ITを活用したココロの健康への対応、社会課題となっている睡眠不足や睡眠負債解決への取組み、ロボットカフェなどによる人手不足の解決など、コーヒーを活用した新たな取組みが始まっている。「モノ消費」と「コト消費」がコーヒー市場でも顕著になっているといえるだろう。(本吉卓也)

●コーヒーポリフェノールと1日3杯の飲用習慣

全日本コーヒー協会によると、「コーヒーにはクロロゲン酸などのポリフェノールが豊富に含まれ、コーヒーの褐色や苦み、香りの元となっている。コーヒーの飲用ががんや糖尿病、動脈硬化などの予防に有効であるという研究成果が相次いで報告され、その効果にクロロゲン酸などのポリフェノールが持つ抗酸化作用が寄与しているのではないかと注目されている」という(全日本コーヒー協会ホームページから)。

「コーヒーポリフェノール」に着目し、ネスレ日本は「3Coffee a Day」、UCC上島珈琲は生活のリズムに合わせてコーヒーを飲む「ポリフェノールリズム」や「1Day 3Break」などの“一日3杯のコーヒー習慣”を提案している。

この“コーヒーを通じた健康的な生活提案の強化”で、味の素AGFは、カフェオレを毎日の献立に組み込むことで、女性に不足しがちな栄養素を補い、食事全体で栄養バランスが取れる「オトナ給食」メニューを開発するなど、今後、ますます各社のコーヒーを通じた取組みの活発化が予想される。

●ITで「ココロの健康」「人手不足解決」

ネスレ日本は、「アイスクレマ(泡)コーヒー」を飲みながら、利用者の声からココロの状態を診断し、デジタル上のキャラクター「AI だみつを」が気持ちを前向きにしてくれる言葉を届ける「アイスクレマコーヒーでちょっと一息!AIだみつをカフェ」を期間限定でオープンするなど、新たなサービスを始めた。詩人の相田みつを氏の詩を学習した文章生成AIなどで、多忙な現代人のストレスフルな日々をAIとコーヒーの力で、癒し、前を向くきっかけを提供するサービスで、“ココロの健康”に取り組んだ。

また、UCCホールディングスは、ロボットが話し、踊り、働く「&robot cafe system」を6月から販売開始している。これは、ロボットカフェの開発を手掛けるQBIT Robotics社と共同開発した小規模カフェパッケージだ。ロボット・カフェマシン・カウンター筐体があらかじめセットアップされ、1.8坪(約6平方m)のスペースがあれば、店舗を開店することも可能だという。ロボットが人の表情を認識して、話しかけたり、待ち時間を楽しくするダンスを踊るなど、利用者がワクワクするような時間を最先端のAIテクノロジーで実現している。同カフェパッケージは素敵なコーヒー体験を提供するとともに、外食産業やサービス業などで深刻化する人手不足の解決に向けた提案でもある。

●サステナブルなコーヒーの未来へ エシカル消費への対応進む

2020年に40周年を迎える全日本コーヒー協会の横山敬一会長は「50周年に向けて、消費者や社会への貢献を目指す。11月の総会で、1年かけて取り組むスローガンを掲げる予定。ベースとなるのが、SDGsとなる。コーヒー生産国でのさまざまな課題に対する取組みやコーヒー産業の発展に貢献していきたい」と語るように、コーヒー産業全体のサステナブル(持続可能な)発展を目指す。

この秋からは、ラグビーのW杯や東京2020大会などにより、多くの外国人が来日する。これら訪日外国人の中には、企業の社会への貢献や環境配慮に高い意識を持つ人々やビーガンなど食生活に意識が高い人々が多いと思われる。現に、ホテルなど外食産業を中心に、コーヒーなどでも環境や社会問題の解決に貢献する商品を購入する「エシカル消費」(倫理的な消費)に対応すべく、その準備を進めているという。

キーコーヒーはその動きに対応し「レインフォレスト・アライアンス認証農園産コーヒー」を30%以上使用した「ドリップ オン メローブレンド」を投入するなど、コーヒー産業のサステナブルな活動に貢献する取組みも顕著になっている。

●コーヒーと睡眠

ひと昔前までなら、“コーヒー×睡眠”は相反する言葉であっただろう。だが、ネスレ日本は日本人の睡眠不足や睡眠負債という社会課題に着目し、“コーヒーの飲み分け”を通じた新たな睡眠スタイルを提案する体験型カフェ「ネスレ 睡眠カフェ」を展開している。NPOまちづくり大井と同社が協働し、都市型観光と健康をテーマに、魅力的な街づくりを目指すプロジェクトの一環で、大井町(東京都品川区)の住民や来訪者の健康に焦点を当てた取組みとなる。

8月末からは、疲労回復専用ジム「ZEROGIM」を運営するビジネスライフ社との協働により、大井町周辺の企業に対して、質の高い日中の昼寝(仮眠)を推奨するプログラムをレクチャーする「ネスカフェ 睡眠カフェ×ゼロジム 出張眠らせ隊」のサービスを開始し、「コーヒー」×「昼寝」×「運動」で、大井町の企業の生産性向上をサポートしていく。

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