コーヒー・コーヒー用クリーム特集

◆コーヒー・コーヒー用クリーム特集:コーヒー市場 拡大続く家庭用

飲料 2020.09.07 12110号 04面
いれる時間も含め、心の健康や気持ちにゆとりをもたらすコーヒー

いれる時間も含め、心の健康や気持ちにゆとりをもたらすコーヒー

オンラインで開催されたネスレ日本×JAXAのエコプロジェクトイベント

オンラインで開催されたネスレ日本×JAXAのエコプロジェクトイベント

 国内家庭用コーヒー市場は今春以降のコロナ禍による家庭内需要拡大などを主要因に、市場が拡大している。特にスティックコーヒーやレギュラーコーヒー(RC)の伸長率が高く、インスタントコーヒー(IC)なども伸長している。増加した在宅時間を豊かなものにしようと、コーヒー豆からの飲用も増加している。人との接触を避ける新たな日常の中で、カフェなどの業務用市場は影響を受ける中、身体の健康に加え、心や気持ちの健康への意識はさらに高まりを見せる。心や気持ちにゆとりをもたらし、前向きな気持ちにさせる嗜好(しこう)品としてのコーヒーやコーヒークリームの価値はさらに高まると予想される。夏の長期化による「ボトルコーヒー」などアイス飲用の通年化も進む。拡大するECチャネルやサスティナブルな取組みなど、新たな日常の変化へ対応を図り、さらなる成長を目指す。(本吉卓也)

 ●心や気持ちにゆとりもたらす価値高まる

 今春以降のコロナ禍は社会や日常を大きく変えることになった。今後はウィズコロナという新たな日常への対応を図る必要が生じることになる。その変化の代表的なものが、巣ごもり需要の拡大だろう。感染拡大を防ぐため、家庭内で過ごす時間が拡大するにつれ、自宅でRCを楽しむ人が増え、スティックやICの消費も拡大している。

 味の素AGFによると、コーヒー・嗜好飲料計の4~5月の市場規模は約514億円(前年比11.1%増)と伸長している。中でも、スティックコーヒーやRCは同20%前後と高い伸長を見せている。在宅勤務の拡大で、従来の朝の飲用から、午後の飲用頻度が増加するなど、新たな飲用傾向の変化がある。自宅で過ごす時間の拡大で、コーヒーの興味や関心、感度をさらに高めることになった。スティックなどの簡便性商品に加え、豆から抽出してコーヒーを楽しむ人が増加するなど、楽しみ方の多様化ももたらした。

 テレワーク拡大などによるオン・オフのスイッチの切り替えとしてのコーヒーの飲用や、ストレスフルな日常に対し、コーヒーブレークといわれるように、ココロの健康や精神的なゆとりをもたらすコーヒーの価値をさらに高めることになっている。1日3杯のコーヒー飲用習慣提案など、各社が推進する「コーヒーポリフェノール」訴求は、カラダの健康への貢献となり、今後、ココロとカラダの健康へのコーヒーニーズはさらに高まると予想される。

 ●今秋冬は主力ブランド強化 ECにも注力

 新型コロナウイルス感染防止のため、店頭滞在時間の短縮などから、消費者インサイトとして“いつでも、どこでも購入できるブランド”“昔からなじみがあるロングセラーブランド”などの安全・安心感がある各社の主力製品やロングセラーブランドの購入意向が高まっている。この消費者インサイトに対応しようと、今秋冬は各社が誇る主力ブランドやロングセラーブランドの刷新による価値拡大に注力する戦略が目立つ。

 加えて、伸長するECチャネルへの対応も今後は大切な要素となる。ECチャネル向け製品群は、従来、オフィス向や業務用での使用を念頭に置いた大容量の製品展開が主であった。今春以降、巣ごもり需要の拡大などから家庭内飲用を目的としたニーズが拡大し、BtoBから、BtoC向けのECチャネルが活発化している。一般家庭での利用を想定する100g個包装で新たな需要創造にチャレンジしようと、リアル店舗では品揃えが少ない小容量パックを投入するキーコーヒーなど、新たな市場創造を目指す動きも始まっている。

 ECチャネルの特徴として、製品購入時のユーザーの選択情報量の多さと時間の長さがある。各製品に対する詳細な情報を比較し、自分のペースでゆっくり製品を選択できるというユーザーフレンドリーなチャネルの特徴に対し、その製品が持つ商品特徴や魅力はもちろん、その製品のストーリーなども製品購入時のファクターになると想定される。価格志向が進むとともに、価値あるものには金を惜しまないというプレミアム化の二極化が進むと予想されるウィズコロナの世界では、ECチャネルに限らず、その製品が持つ独自価値やストーリーがさらに支持される傾向が増すと想定され、各社が知恵を絞っている。

 ●サスティナブルな取組みにも対応

 秋冬も、植物由来プラスチック使用などによる容器包装や包材の工夫によるプラスチック排気量削減や温暖化ガス削減など、環境配慮への取組みを各社で実施している。

 サスティナブルなコーヒーの未来へ貢献すべく、UCC上島珈琲やキーコーヒーなどがレインフォレスト・アライアンス認証農園産コーヒーを使用する製品投入など、生産地支援も進む。比較的、大型農園などへの支援が多い中、中小1600の農家からなるコーペルカム農協に加盟する農家を支援する、味の素AGFの取組みなど新たな動きもある。以前から、環境に配慮するエコ&システムを推進するネスレ日本は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(「JAXA」)と共同で4月から推進する親子で楽しく地球環境について学ぶエコプロジェクト「#NescafeOurPlanet(ネスカフェ アワープラネット)」に取り組んでいる。各社はそれぞれの方法で、サスティナブルなコーヒーの未来へ貢献し、高まエシカル消費への対応も図っていく。

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