加工わさび特集
加工わさび特集:業務用=2月から売上げは急減 回復傾向も今後に不安
加工わさび市場の業務用はこれまで、好調な輸出により市場は拡大傾向にあった。国内市場は魚離れによるわさびの喫食機会の減少などによって厳しさはあったものの、きざみわさび類などによる肉料理へのわさびの浸透により安定していた。
しかし、新型コロナウイルスの発生が状況を一変させた。加工わさびは刺し身などハレの日に使われる食材が多く、ユーザーは居酒屋や料亭などの外食店舗やホテル、旅館などが多い。これらのユーザーは新型コロナウイルスの自粛の影響を大きく受け、結果として加工わさびの業務用メーカーも2月から6月くらいまでは、これまでにないほど売上げを減少させた。単月で見ると、売上げを4割以上減少させたメーカーも複数存在する。
7月以降は徐々に売上げを回復しつつある。国内市場の外食店舗などの営業再開や、Go To Travelの開始によるホテルや旅館の再開、さらに海外でも北米や東南アジアなどで輸出が回復した。しかし、10月に入り国内市場の回復傾向に陰りが見られるなど不安定要素は少なくない。
加えて、1日当たりの北海道の新型コロナウイルス発症者が200人を超える(11月9日現在)など、先行きは不透明と言わざるを得ない状況だ。
これらの状況を踏まえ、業務用メーカーは社内体制の整備や商品開発部門の強化などに取り組んでいる。新規事業開拓や新たな製品の開発を進める動きは着実に進んでいる。新規事業開拓ではアルコール製剤の開発検討や家庭用製品の開発、新製品としてはこれまで以上に本わさびにこだわった商品や機能性表示食品の取得を検討するといた声が聞かれた。
また、小袋製品はこのような状況下でも家庭内食化が進んだことで、スーパーの刺し身売場などを中心として堅調な推移を続けている。これからは小袋の1食使い切りという点が感染リスクの軽減やデリバリーの急速な普及にマッチするとして、小袋製品はその可能性を広げていくと思われる。
加工わさびの業務用市場はかつてないほどの苦境にある。特に、居酒屋などの外食店や旅館、ホテルなどをメーンユーザーとしてきたメーカーへの打撃は大きい。
しかし、長期的に加工わさびの輸出は今後も大きな伸びが期待できる分野だ。和食の世界的な広がりや世界の人口増加などで、今後も加工わさびは世界に広がっていくことが期待できる。
現状をいかに乗り切るかが業務用各メーカーにとって課題となっている。