全国外食産業・業務用卸特集

冷凍食品 2020.08.15
全国外食産業・業務用卸特集

 ◇当たり前が当たり前でなくなった
 ●外食企業 大量閉店相次ぐ 新事業領域に活路
 コロナ禍で外食企業に大きな地殻変動が起きつつある。5月、居酒屋「甘太郎」や回転寿司チェーン「かっぱ寿司」などを展開するコロワイドは、居酒屋業態を中心に直営店196店舗を9月までに閉店。居酒屋「和民」「ミライザカ」などを展開するワタミは65店舗を21年3月までに閉店。「金の蔵」の三光マーケティングは今6月期中に40店舗を閉店。「はなの舞」のチムニーは20店舗、総合居酒屋の老舗「つぼ八」も12店舗を閉店するなど、居酒屋業態の不採算店閉店の報道が相次いだ。
 居酒屋業態だけではない。ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」、和食ファストフード「天丼てんや」などを展開するロイヤルホールディングスは21年末までに約70店舗を閉店。ファミリー層をターゲットとしたファミリーレストラン「ジョイフル」も直営200店の閉店を予定、そして牛丼チェーン「吉野家」、セルフ方式讃岐うどんチェーン「はなまる」などを展開する吉野家ホールディングスも国内外で150店舗を今2月期中に閉店など、ランチを主とする業態もコロナ禍の打撃を受けた。
 新業態への参入の動きもある。前述のワタミは、テークアウト主体の唐揚店業態「から揚げの天才」の店舗展開を加速するほか、鹿児島県の食肉加工・卸業のカミチクグループと合弁会社を設立し、焼肉事業を新展開。5月には東京・蒲田に「かみむら牧場」をオープンした。5年後国内200店舗など、国内外へのチェーン展開を目指す。
 新事業領域への参入も続いている。コロワイドは、給食市場(介護施設・病院)に参入。外食事業で培った高品質な食事・サービスを生かし給食事業の展開を目指す。「かつや」を展開するアークランドサービスホールディングス、「大戸屋」を展開する大戸屋ホールディングスなど、家庭用冷凍食品市場への参入に活路を求める企業もある。
 コロナ禍でも介護施設給食は、外食産業の中でも影響を受けなかった数少ない業態だ。そして、滞在型の高齢者施設は365日×3食が見込める安定市場でもあり、超高齢化社会の進展で人口(胃袋)が増える唯一の成長が見込める市場でもある。家庭用冷凍食品もコロナ禍の巣ごもり消費で伸び、新たなリピーター層を獲得した。そして、「大阪王将羽根つき餃子」で知られるイートアンドのような成功事例もある。同社は、飲食店と食品販売の両輪経営を着実に進め、現在は単品で100億円を超える売上げを実現している。