全国小売流通特集

小売 2021.07.31
全国小売流通特集

 社会・経済活動は、新型コロナウイルスの感染リスクと依然として背中合わせにある。ワクチンの接種は医療従事者4万人が先行して2月17日から始まり、5月以降は全国の高齢者に、7月末には必要とされる2回目の接種を希望する高齢者が終えられるように進められているが、1年延期となった東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開幕に先立つ7月12日、開催都市・東京に8月22日までの4度目となる緊急事態宣言を発令、7月23日から8月8日が会期のオリンピック競技大会は同宣言下、無観客で開催、同宣言の措置によって飲食店での酒類提供も一律停止となった。
 感染拡大を抑え込めず度重なり発令される緊急事態宣言やまん延防止等重点措置は、国民・生活者に不要不急の外出や大人数での会食や観光・帰省などの行動や移動の抑制を求め、感染リスク軽減のため広がるテレワークは在宅勤務者の増加をもたらし生活圏の昼間世帯人数の構成を変えるなど小売業の事業環境を大きく変えた。感染防止のため現金に触れたがらない生活者の増加は、キャッシュレス決済を定着させた。来店客が過密になるリスクを回避する行動はネットスーパーの利用を促進する。
 今後の事業環境は、ワクチン接種の拡大に伴う感染の抑え込みや待望される沈静化によって大きく変わることになろう。小売業が見通そうとしているのはデジタルトランスフォーメーション(DX)の進化に託すコロナ後の成長戦略だ。(流通グループ)