近畿中四国小売流通特集

小売 2021.09.28
近畿中四国小売流通特集

 2年にわたるコロナ禍で、内食化の動きは続いており、前年の特需の反動があるものの、今期もスーパーマーケット業態は比較的堅調に推移している。ただこの状況は、小売各社の真の実力とは言い難い。少子高齢化や人口減の進行で、市場の縮小傾向は続いている。人手不足や、さらなる競合激化など、小売業を取り巻く環境は以前にも増して厳しくなっている。
 コロナ特需で一息ついた企業もあるが、体力のない中小零細企業、先行きの見通しがたたない企業は疲弊しており、ここにきて企業間格差が拡大している。近畿においては、関西スーパーマーケット(関西スーパー)とエイチ・ツー・オー リテイリングの経営統合の発表(8月31日)を受けて、関東を中心に店舗展開するオーケーが関西スーパーの株式を公開買い付けする意向を公表。関西スーパーを巡って争奪戦になっている。また、四国では9月1日に、フジとマックスバリュ西日本の経営統合が発表された。両社は22年3月1日に共同持ち株会社の下、経営統合する。
 持ち株会社はイオンの連結子会社となり、統合プロセスを進めたのち24年3月1日には新たな統合会社を設立する。持ち株会社は、フジを会社分割して設立。共同持ち株会社の下にマックスバリュ西日本、新設する事業会社フジが子会社となり、その後両社を統合することになる。市場が大きく縮小する中で、業界再編は避けることができない状況だが、コロナによって再編に向けた動きが早まっている。コロナ後の新生活様式にも対応し、“地域になくてはならない店”として生き残るためには、価格対応だけではない、地域に根ざした、消費者目線での生活全般の提案、売場・商品・食シーン提案、困りごとの解決など独自性を打ち出し、来店動機が明確になる店づくりが不可欠だ。
 (関西支社=廣瀬嘉一)