アポなし!新業態チェック(223)「TRIAL GO」西荻窪駅北店
●九州のDX小型スーパーが東京進出 日常の飲食ニーズに対応する低価格な調理済み食品を提供
九州を本拠地として、全国にスーパーセンターなどの量販店を展開するトライアルホールディングスが、昨年、スーパーマーケット企業の西友を傘下に収め、首都圏への積極的な展開をスタートした。その第一歩として、2022年から福岡県で展開してきた小型スーパー「TRIAL GO(トライアル ゴー)」を東京都内に出店。昨年11月、杉並区の「西荻窪駅北店」と練馬区の「富士見台駅北店」を同時にオープンし、12月には、さらに2店舗を都内に追加オープンした。
「TRIAL GO」は、同社が主力とする大型量販店の商圏を補完する、いわゆるサテライト店舗だ。食品を中心としたコンビニと同規模の小型スーパーだが、弁当や惣菜など調理済み食品の比率が高い。こうした、すぐに食べられる調理済み食品や飲料などの多くはコンビニよりも価格が安く、品揃えも豊富なので、コンビニの有力なライバルになるだろう。首都圏の「西友」が同社グループ入りしたことで、「西友」店舗で調理した弁当や惣菜などを素早く配送することが可能になり、「TRIAL GO」の都内展開が実現したのだ。
また、同社はシステム開発を自社で行っているIT企業でもあるため、さまざまなデジタル技術が店舗運営に導入されている。レジはほぼ完全なセルフレジであり、売場の棚はカメラによりモニターされ、遠隔で在庫管理が可能。店頭のファサード看板にはデジタルサイネージが導入されている。こうした技術により店舗運営の省力化が図られ、低価格を実現しているのだ。
★けんじの評価:外食は競合を正しく把握する必要あり
今回取り上げた「TRIAL GO」は、食品中心とはいえ小売業の店舗であり、業種としては外食と異なるビジネスの分野にある。しかし利用客の側から見たとき、同店の客層はファミリーレストランやファストフード、カフェなどで日常の外食をする人々と、その利用シーンが大きく重なっている。それが同店を採り上げた大きな理由だ。
人間が1日に食べる食事の量や回数には限度がある以上、飲食店で外食をするか「TRIAL GO」のような店で購入した弁当や惣菜などで食事をするかは、どちらかしか選べないというトレードオフの関係にある。つまり、ある種の飲食店と「TRIAL GO」とは、かなり厳しい競合関係にあるのだ。
同店の特徴は、購入してすぐに食べるような商品が充実しているという点にある。もちろん、食品スーパーやコンビニにもそうした食品はあるが、食品スーパーは“家庭にいちど保存する食品”の購入が中心だし、店舗数の増えたコンビニは弁当や惣菜よりも、価格の高い付加価値商品に注力している。低価格な日常食の提供という意味で、同店は多くの外食店と真っ向から対決するブランドなのだ。
イオンが首都圏で展開している「まいばすけっと」も、ほぼ同様の市場を狙うチェーンとして1200店舗を超えて急拡大している。日常の飲食を提供する外食企業は、こうした競合分野に対して価格やポーションだけにとらわれず、外食の楽しさや豊かさをどのように提供するか、注意深く検討する必要に迫られるだろう。
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「TRIAL GO」西荻窪駅北店
開業=2025年11月7日/所在地=東京都杉並区西荻北3-21-8
●編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/












