ジャム特集

◆ジャム特集:反動減最小抑えリピート増を 時代に合ったパートナー提案

スプレッド 特集 2021.06.02 12237号 08面
19年と比較しても市場は着実に成長している

19年と比較しても市場は着実に成長している

 新型コロナウイルス感染症による内食需要の増加で、20年のジャム市場は拡大した。21年に入ると、需要急増の反動で、1~4月の累計では前年を下回って推移しているが、コロナ禍前の19年と比較すると市場は着実に成長している。20年の上期を中心とする需要増に伴う、トライアル需要で拡大した間口の縮小幅を最小に抑えると同時に、奥行き(リピート)を増やすことが21年に求められる課題だ。(青柳英明)

 ジャム市場をめぐる環境は、長期的に見ると、朝食欠食の増加や糖質制限ニーズの拡大など厳しい環境にあり、市場規模は縮小を余儀なくされていた。コロナ禍に伴う校の休校や在宅勤務の増加で、朝食を取る機会が増加したことで、一時的にこの課題が解消され、ジャムの需要は拡大した。さらに、コロナ禍に伴う「ステイホーム」が長期化したことで、朝食、昼食、夕食で加工食品を活用したレシピが多く求められるようになった。こうしたニーズに、アヲハタなどが、提案してきた、「ジャムと料理」の提案がマッチした。同社によると、「16年から継続しているスイーツや料理への用途提案も浸透してきている。特に鶏肉をオレンジママレードと醤油で煮るオレンジママレード煮の提案が受け入れられ、オレンジママレードは前年比7%伸長という成果につながっている」という。さらにコロナ禍に伴う手作り菓子需要の増加で、ジャムの販売が増加したとの指摘もある。

 ジャムの性質上、そのまま単独で食べることは難しい。時代に合った最適なパートナーを提案することが求められる。長年のパートナーで、現在でも最大の規模となる食パンも需要は堅調に推移するものの今後大きな伸びは難しい。新たなパンのパートナーとなったヨーグルトも、今後さらなる大幅拡大を見込むことは困難だ。ジャム市場は、近年高い成長を示すチーズとの提案を近年強化している。コロナ禍で「ジャムと料理」が一定程度浸透したことは、今後のジャム市場の成長にとって明るい話題だ。さらに、高齢層に支えられているジャム市場では、若年層の開拓が急務だ。コロナ禍でジャムの喫食機会が増加し、その良さに気付く若年層が増えることに期待がかかる。

 日本ジャム工業組合が公表した20年ジャム類の生産数量は、5万tの大台を割り込む前年比3.6%減の4万8383tとなった。小売用は、同0.3%減の3万1865t、業務用が同9.4%減の1万6518tとなった。また同組合によると、コロナ禍に伴い、農産物生産者が出荷残原料を使用したジャム製造に関する問い合わせが急増したという。さらに近年では、食品ロス削減の観点から余剰農作物をジャムに加工する事例も増加している。

 KSP-POSデータでは、20年販売実績は金額ベースで前年比1.6%増となった。21年は1月が同5.6%増、2月が同3.5%減、3月が同6.7%減、4月が同11.4%減となった。

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