中田宏環境副大臣インタビュー(中)食品ロスさらに削減 国民の行動変容が鍵に
–日本がNDCで掲げた温室効果ガス13年度比46%削減の達成時期が6年後に迫っています。現在までの進捗と目標達成に向けた課題をお聞かせください。
中田 わが国の温室効果ガス排出量は、22年度に13年度比約23%の削減を達成しました。50年のネット・ゼロと30年度目標に向けて順調な減少傾向を示していますが、引き続き対策・施策を全力で推進していきます。
目標の達成には、産業構造、インフラ、国民のライフスタイルといったあらゆる面での対策が必要であり、事業者、国民の皆さまのご理解・ご協力が欠かせません。事業者の方々には、環境省が実施している▽企業間で連携した省CO2設備投資等への補助▽業務用建築物の省エネ改修や省エネ設備の導入に対する支援等を活用し、自社のオフィスや事業所の脱炭素化に積極的に取り組んでもらいたいと思います。
また、国民の皆さまには、自分のできるところから日々の行動やライフスタイルの脱炭素型への転換を進めていただきたいと思います。環境省ではその一環として、脱炭素に向けた国民運動「デコ活」を掲げ、脱炭素型の暮らしが経済的な負担の軽減や「ウェルビーイング/高い生活の質」につながることを発信するとともに、その実現に向けて断熱窓の改修などに対する支援を推し進めています。
–25年度から食品リサイクル法の新たな5ヵ年基本方針がスタートします。事業系食品ロスのさらなる削減に向け、納品期限緩和などの商慣行改善も取り組みテーマに掲げられました。方針の骨子と推進課題をお願いします。
中田 事業系食品ロスについては、従来の基本方針で掲げていた30年度目標(2000年度の半分の273万tに削減)を22年度に前倒しで達成することができました。今回の基本方針では、こうした今までの経過や食品関連事業者の食品リサイクル率の推移などを点検した上で、さらなる高みを目指すべく包括的な見直しを行っています。
事業系食品ロスをサプライチェーン全体で30年度までに2000年比で60%削減するという新たな目標が定められたことを踏まえ、食品関連事業者のみならず、地方公共団体や消費者などに向けて基本方針の内容や対策の参考となる情報を国として広く発信し、行動変容を促していくことがとても重要だと考えています。
–消費者段階の食品ロス削減につながる動きとして、消費者庁と厚生労働省が昨年12月に「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」を策定しました。
中田 このガイドラインの策定を巡っては、私自身も消費者問題に関する特別委員会の中で議論し、内容の充実と速やかな取りまとめを促してきました。その中で繰り返し申し上げてきたのは、消費者が持ち帰りにくくなるような基準を作っても意味がないということです。今回のガイドラインはこの問題に配慮した内容になっています。持ち帰りの対象を加熱した食品に限定したり、早めの喫食を求めているので、今後は飲食店の方々も持ち帰りに協力しやすくなるのではないでしょうか。(横田弘毅)
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