健康関連食品特集
健康関連食品特集:機能性表示食品=発足5年目で1900億円
●参入企業、依然増加傾向
発足5年目を迎える機能性表示食品の市場規模は18年、メーカー出荷ベースで1900億円(本紙推定)に到達した。届出登録数も2000件を突破し、(5月上旬現在・一部撤退含む)と1年間で5割近く増加。成長率は一服したが、生鮮を含めた食品、サプリメントがともに順調に拡大。トクホと比較して売場は完全構築には至っていないが、参入企業は依然増加傾向で、19年は2000億円を突破する可能性が高い。
同市場は初年度こそ模索状態が続いたが、目玉だった生鮮分野で登録商品が誕生したことに加え、缶詰・冷凍食品などトクホにはない分野での商品化などもあり、17年夏には届出登録数が1000を突破した。初年度450億円の市場規模は16年、1300億円にまで拡大し、17年は1750億円にまで成長。18年も食品・サプリメントともに着実に拡大し、飲料・乳製品などを中心に多岐にわたる分野で商品化が相次いだ。
土台となる「機能性表示食品制度」は15年4月、アベノミクスでの成長戦略の目玉の一つとしてスタート。栄養機能食品・トクホに続く保健機能表示制度に位置付けられる。多額の費用や厳格な審査が必要となるトクホとは異なり、科学的根拠(研究結果や論文など)を“自己責任”の基に示すことで申請することが可能で、消費者庁で受理されればパッケージ上で機能性を明記することができる。
発足当初に指摘された品目不足や受理の遅さは、システムの見直しや人員増強、データベース化などで改善。また、一般食品だった既存品を機能性表示食品化する動きが加速し、これが売上げ増につながるケースも目立つ。多額のコストがかからない点も、特に中小企業の参入を促進している。
一方でトクホと比べて、全般的に認知度が低いことや、売場構築が果たせていないなどの課題もある。制度の根幹にある「自己責任」に対する考え方も生活者サイドでは認識不足が否めず、今後啓蒙(けいもう)していく必要があるだろう。トクホとの違いや関与成分の機能性に関する表示システムの違いなどは、業界・行政が一体となり啓発すべき点といえる。規制なども引き続き強化へ動く可能性が高く、17年11月には機能性表示食品初となる景品表示法での措置命令が下り、広告事例での課題も浮上した。
とはいえ、「健康」を軸とする差別化戦略の主流化や、今後さらに商品数は増加する可能性が高いことなどを考慮すると、機能性表示食品は今後、トクホの約半分の規模に相当する3000億円前後までは成長すると思われる。消費者庁では今春、トクホの疾病リスク低減表示に関する調査を開始し、すみ分けの面でも注目される。