ケージフリー鶏卵へ移行するフランス企業が続々と アニマルウェルフェアを重視する消費者の選択肢が広がる

家畜にストレスを与えない飼育環境を目指す「アニマルウェルフェア(Animal Welfare・家畜福祉)」が世界の潮流となっている。EUでは家畜のケージ飼育を禁止しようと法整備が進む中、生産者や販売者は、家畜の飼育環境を商品のパッケージでアピールしたり、消費者はその情報を確認しながら購入選択したりと、さらに歩みを進めている。

4つのカテゴリに分けられるフランスの鶏卵

フランスを含むEU内の鶏卵業界では、親鶏のケージ飼いからケージフリーへ移行する流れが続いている。現在販売されている鶏卵は、親鶏の飼育環境によって4つにカテゴリ分けさられている。

カテゴリ0:有機生産(オーガニック飼育・Bio)
カテゴリ1:放し飼い(Plain air)
カテゴリ2:平飼い(élevées au sol)
カテゴリ3:ケージ飼い

消費者は購入時にパッケージや各卵に印字されているコードを確認し、選択することができる。2021年のスーパーマーケットなどでの一般消費は、約40%が「カテゴリ1」の放し飼い、約15%が「カテゴリ0」のオーガニック飼育、約11%が「カテゴリ2」の平飼いの鶏の卵を選択したそうだ。

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フランスで販売されている鶏卵(筆者撮影)

動物の飼育環境として最も快適性が配慮されていないと認識されるケージ飼いの鶏の卵「カテゴリ3」の消費は、以前は大多数だったが現在では34%まで減少し、カテゴリ0,1,2のケージフリーの鶏卵の消費が年々増加している状況だ。

加工食品もケージフリー鶏卵を使用へ

2016年以降、多くのスーパーマーケットチェーンが2025年までにケージ飼いの鶏の卵の販売を廃止することを掲げている。既にMonoprixやCareffeurなど、自主的にケージ飼いの卵を販売していない大手スーパーマーケットチェーンもある。

放し飼いの鶏の卵
鶏卵の殻に印字されている「1FR…」(下段)から、「カテゴリ1」の放し飼いの鶏の卵であることがわかる(筆者撮影)

Carrefeurは、自社のプライベート加工食品についても2025年までにケージ飼いの鶏の卵を原材料として使用することを止め、ケージフリーの鶏の卵を使用することを宣言している。このようなアニマルウェルフェアへの関心を反映して、ネスレグループやスターバックスコーヒー、マクドナルドなどもまたケージフリー飼育の鶏の卵の使用へ切り替えるとしており、食業界全体での「アニマルウェルフェア」への関心の高さが伺える。

インフレと鳥インフルエンザによる逆風も

EUではケージフリーの鶏卵の生産・消費は今後も伸び続けると思われる。しかしながら、鳥インフルエンザの流行下では、通常ケージフリーの鶏も感染対策のために放し飼いが難しい状況があり、カテゴリ表記について物議を醸すこととなった。また、昨今の急激なインフレにより、フランスでは鶏卵価格もすでに10%程度値上がりを見せている。

スーパーマーケットの鶏卵売場
スーパーマーケットの鶏卵売場では、カテゴリ別に鶏卵のパックが色分けで陳列されている(筆者撮影)

価格面では、ケージ飼いの鶏卵が最も安く、2,1,0の順に価格は上昇する。ケージ飼いの鶏卵に対して、「カテゴリ2」の平飼いの鶏の卵の価格は1.5倍、「カテゴリ1」の放し飼いの鶏の卵の価格は約2倍、「カテゴリ0」のオーガニック飼育の鶏卵の価格は3.5倍だ。

2022年8月、小売での「カテゴリ3」のケージ飼いの鶏の卵の売上が前年同月と比較して約10%増加した。これは、依然としてカテゴリ0,1,2のケージフリーの鶏の卵の売上げを下回っているものの、これまでの流れからすると驚くべき結果となった。「カテゴリ2」の平飼いの鶏の卵は37%増加しているが、「カテゴリ1」の放し飼いの鶏の卵は約9%と微増となり、「カテゴリ0」のオーガニック飼育の鶏の卵に至っては4%の減少にさえなっているという。

一方で、一歩前へ進んでいるEUでは鳥インフルエンザのような感染病や急激なインフレが課題となっている状況がある。今後、フランス・EUの生産者・消費者はこの状況の中でどのように選択していくのだろうか。(在フランス管理栄養士ライター 高城紗織)

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