ピクニックセットを宅配、英国の伝統的イベントにも変化

英国のピクニックと言えば、タータンチェックや手作りのサンドイッチを想像してしまう。ピクニックは中世紀に始まり、ビクトリア時代以降、徐々に庶民に広まったと言われている。まさに伝統的なファミリーイベントであるが、ピクニックも時代とともに変化が見られる。現代のピクニックの様相を紹介する。

英国の夏はピクニックで始まる

手作りのサンドイッチやスナック、スコーンやケーキ、アフタヌーンティやジンジャービールを自然の中で楽しむ家族中心の娯楽がピクニックである。秋冬の天候が優れない英国では、良い気候を楽しめる春から夏にかけて盛り上がる。雨の日でさえピクニックを楽しむマニアもいるほどだ。最近は、庭の一角で毎晩アルフレスコ(屋外食)を楽しむ人々も多い。

SCOTCH EGGS
スコッチエッグ(筆者撮影)

昨年はコロナの全国的まん延が影響し、ピクニックセットの宅配が目立った。竹製のクラッシックなバスケットに入ったバラエティあるランチメニューや食器類は、ビクトリア朝を想起させるスタイリッシュなものが多い。今年も同様に豪華なピクニックセットが登場。シャンパーニュや高級ワインの入った「ハンパー」(かご)は、大規模なガーデンショーやロイヤルアスコット、ウインブルドンなどの大イベントで提供されている。

ウインブルドンで販売されたセットのメニューは

今年のウインブルドンでは、ランチセットとアフタヌーンティセットが発売されていた。ランチセットは80ポンド、アフタヌーンティセットは60ポンド。応援席にいなくてもオーダーできる点が魅力的だ。

メニューは次の通りである。

スターター:サバのパテ、オーツケーキ 
メーンコース:コーネーションチキン、アプリコットとレーズン入りのクスクス、スーパーサラダ、ポークパイ、ウズラ卵のスコッチエッグ(トラフル・マヨネーズ付き)
デザート:チョコレートムース、パッションフルーツのチーズケーキ、チーズの盛り合わせとチャツネ、サワードウのクラッカー(ウインターディールチーズ付き)

アフタヌーンティセットは・・・
スモークサーモン、ピクルス入りソース、ハム(受賞歴多数)、トマトと唐辛子のジャム、パン、スコーン(プレーン、レーズン入り)、ウインブルドンのスペシャルイチゴジャム、クロテッドクリーム

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人気のスナックやゼリー(筆者撮影)

参考サイト:
Picnic Reservations – The Championships, Wimbledon – Official Site by IBM
11 Picnic Hampers To Buy This Summer 2022
How the picnic came to British blankets – BBC Bitesize

百貨店は高級感を味わえるセットを提供

このようなイベント以外にも、百貨店のセルフリッジズやハーベイ・ニコルズは、自社EC(電子商取引)サイトで豪華なピクニックハンバーを販売している。ハーベイ・ニコルズのスパークリングワインやジン、和風せんべいやオリーブなどの入ったセットはユニークである。英国には高級感を充分に味わえる選択肢がある。

MINI PORK&PICKLE PIES
ポークパイ(筆者撮影)

このようなピクニックセットが気軽に手に入る一方で、手作りランチを楽しむ伝統的なピクニック人気は今も衰えていない。時代とともに変化するピクニックではあるが、家族や気の合った仲間と楽しむという核心は不変である。(フードライター ラッド順子)