生魚を食べる習慣のない英国でキャビアの人気が上昇中

キャビアの人気が英国で高まっている。コロナまん延に伴うロックダウン期間中に火がつき、それ以降どんどん売上げを伸ばしている。生魚や生卵を食べる習慣のない英国で、なぜキャビアが注目されているのか。その背景を紹介する。

ロックダウン中に「自宅でぜいたくな気分を」

世界的に見ると、キャビアの消費量は米国と欧州が最も多い。1970年代から80年代に全盛期を迎えたキャビアの現在の売上げは全盛期の10分の1といわれるものの、年々数字を伸ばしている。例えば、米国のStarling caviar生産場は、2021年に通常の売上げを10%も伸ばし、そのうちの60%がオンライン販売によるものであった。また、英国のExmoor Caviar生産場も過去10年間の2倍となっている。

英国のスーパーで販売されているキャビア(筆者撮影)

人気の理由の1つは、ロックダウン期間中の人々の健康意識の高まりである。2つ目は、家庭滞在時間が増えたこと。「自宅でぜいたくな気分を味わいたい」「健康を維持したい」という人々が増えたのだ。

ニジマスのキャビア(筆者撮影)

参考サイト:
Caviar sales soar as more people get a taste for posh fish eggs – BBC News
Caviar Facts, Trends And Statistics In 2022

食べ方がインスタ映え

さらにSNSに費やす時間が増したことも人気の理由の1つであろう。豪華な印象を与えるキャビアはインスタ映えする。

キャビアの人気の食べ方は、スプーンを器に入れ、すくい上げて食べるのではない。人差し指と親指の間に少量のキャビアを置き、指を口に近づけて食べるのだ。この方法が実におしゃれなのである。英国タイムズ紙によると、約50%の人々がこの瞬間を撮影してほしいと友人にお願いするのだそうだ。

また、キャビアと相性の良いウオッカとのコンビネーションも魅力的の1つだ。ウオッカとたしなむキャビアはぜいたくでおしゃれ。英国ではウイスキーやシャンパンとキャビアという人々もいる。いずれもギフトセットとして発売されている。

英国で販売されているウオッカ(筆者撮影)

サステナブルなキャビアも開発中

キャビアに対する人々の意識が確かに変化してきた。特別な日という意識から日常のぜいたく品へとシフトしているようだ。キャビア業界は小型の缶詰、例えば100gで2400円程度の商品を売り出すなど、消費者に手ごろな価格で提供している。

さらに、英国ではサステナブルを意識した商品開発も進んでいる。Exmoor Caviar生産場はバイオテクノロジーを利用し、チョウザメの細胞を培養するキャビア生産を計画しているそうだ。成功すれば、アニマルフリーのキャビアが数年後に登場することになる。(フードライター ラッド順子)