缶コーヒー特集

◆缶コーヒー特集:「すべては缶コーヒーのために」 各社の努力が実を結ぶ

飲料 2019.10.25 11960号 05面
原点回帰を図る「ファイア」。ユーザーの心へ火を灯す

原点回帰を図る「ファイア」。ユーザーの心へ火を灯す

メーンユーザーの心へアプローチする「ワンダ」の「ルパン三世限定缶」

メーンユーザーの心へアプローチする「ワンダ」の「ルパン三世限定缶」

メーンユーザーの郷愁を誘う「ジョージア」の「機動戦士ガンダム」とのコラボ缶

メーンユーザーの郷愁を誘う「ジョージア」の「機動戦士ガンダム」とのコラボ缶

若年層や女性などの次世代ユーザー獲得を目指す「カフェ・ド・ボス」シリーズ

若年層や女性などの次世代ユーザー獲得を目指す「カフェ・ド・ボス」シリーズ

 ラグビーのワールドカップで、日本代表の挑戦が終わった。史上初のベスト8まで進出したが、強豪国南アフリカとの死闘の末、その旅路を終えた。前大会で3勝を挙げるまで、決して芳しくない戦績のまま敗退していた歴史を持つ日本代表が強豪国への道を歩み始めた。一方、ここ数年、下降傾向が続いていたショート缶市場にも、一筋の光が差し始めている。光の当て方にもよるが、回復への基調に転じたとの声もある。日本代表が力と知恵の限りを尽くしたように、各社の缶コーヒーに対する戦略や努力が実り、息を吹き返しつつある。それは奇跡ではなく、努力の結晶といえる。ラグビーの精神となる「オールフォーワン/ワンフォーオール」–「すべては缶コーヒー(RTDコーヒー)のために」。今、新たな戦いのホイッスルが吹かれた。(本吉卓也)

 ◆ショート缶は回復基調

 長く、ダウントレンドを続けてきたショート缶市場が昨秋から、緩やかな下降に変化し、下げ止まりへと転じた今、各社の成長回復への取組みが活発化している。

 中でも、ショート缶に最注力し、原点回帰を図るのが、「ファイア」(キリンビバレッジ)だ。「挽きたて微糖」「ブラック」を中心とする戦略にシフトし、同ブランド誕生以来、こだわり続ける「火(ファイア)」を大切に、中身やパッケージに磨きをかけた。パッケージでは、ブランドの象徴となる「ファイア」をさらに大胆に配し、中でも「ブラック」は“青い炎”が静かに燃え続ける、スタイリッシュなデザインが目を引く。同ブランド発売当時(1999年)のCMソング「To Feel the Fire」を俳優の桐谷健太が継承し、歌い上げる新たなCMを投入するなど、原点回帰を図るとともに、新たなユーザーへ、気持ちを切り替える・前向きにする“心の火(ファイア)”を灯していく。

 ○メーンユーザーの心へアプローチ

 この秋は、缶コーヒーのメーンターゲットとなる40~50代の心や嗜好(しこう)にアプローチし、離脱ユーザーや新たなユーザーの購入喚起を図る取組みが目立つ。その代表となるのが、「ジョージア」(コカ・コーラシステム)と「ワンダ」(アサヒ飲料)だ。

 「ジョージア」は、今年発売25周年の「エメラルドマウンテンブレンド」で、40~50代ユーザーに今なお、絶大な人気を誇る「機動戦士ガンダム」のファーストシリーズとのコラボレーションを展開。このコラボデザイン缶の展開で、「エメラルドマウンテンブレンド」単体では前年を上回る推移をしており、9月からは全国の対象自動販売機で「機動戦士ガンダム」グッズが当たるキャンペーンを行っている。

 「ワンダ」は、「モーニングショット」と「金の微糖」のショート缶2品で「ルパン三世」とコラボレーションした「ルパン限定缶」を投入している。ルパン三世をはじめ、次元大介、石川五右ェ門、銭形警部、峰不二子、作者のモンキー・パンチが描かれた計24種類をラインアップした。なかでも、峰不二子のデザインはレア率を高めており、その希少性やビートたけしを起用したTVCMでの話題喚起を図る。

 ○若年層など新たなユーザー獲得へ

 その一方で、サントリー食品インターナショナルの「ボス」は、9月に新発売した「カフェ・ド・ボス」2品により、若年層や女性などの新規ユーザー獲得を目指し、新たな顧客創造に挑む。同社は、離脱した缶コーヒーヘビーユーザーの再流入などから、ショート缶にユーザーが復調傾向と判断。若年層開拓の鍵は「親しみやすさ」と「こだわり」が感じられることとし、缶コーヒーの固定観念をくつがえすカラーリングやパッケージデザインで提案する。

 加えて、伸長するブラックカテゴリーのパイオニアとなる発売25周年のアニバーサリーイヤーを迎えた「UCC BLACK 無糖」(UCC上島珈琲)や3月からその中身が評価され、プラス成長を続ける「BARISTA’S DEMITASSE」(伊藤園)など、魅力的なラインアップで、ショート缶カテゴリーは活性化が続く。

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