ソース特集

◆ソース特集:進むメーカー共同の取組み 家庭用・業務用ともに堅調

調味 2020.04.03 12034号 07面
焼きそばなど専用ソースが伸長

焼きそばなど専用ソースが伸長

ブルドックソースとカゴメがコラボしてメニュー提案するハヤシライス

ブルドックソースとカゴメがコラボしてメニュー提案するハヤシライス

ソース業界は昨年の天候不順による家庭内食機会が増加したことなどを受けて、家庭用は堅調に推移した。業務用についても、中食化の浸透などにより手堅い動きが続いている。焼きそばやお好み焼きなどの専用ソースや塩分や糖質を低下させた健康志向のソースが市場をけん引している。一方で主力のウスターや中濃、とんかつなどの既存ソース類は堅調な推移ながら大きな動きは見られない。ただし主力のソースについてはブルドックソースとカゴメがコラボし、お互いのソースとケチャップでハヤシライスのソースなどを提案する共同販促が実施されるなど、主力品底上げへの新たな動きが見られる。これらの動きがソース市場の底上げにつながることを期待したいところだ。(高木義徳)

ソース業界は一昨年、野菜価格の高騰の影響でお好み焼きや焼きそば向けのソースが伸び悩んだ。しかし、昨年は天候不順により家庭内食の機会が増加したことなどで、全体として堅調な推移を見せた。日本ソース工業会によるウスターソース類のJAS格付実績(19年4月~20年2月)を見ると、全体の数量は前年比3.0%増の4万7830klと数字を伸ばした。各カテゴリー別では、ウスターソースが同3.2%増1万4518kl、中濃ソースが同0.7%増1万6670kl、濃厚ソースが同5.2%増1万6643klと各カテゴリーで伸長した。合計を月別に見ると、19年の5、7、8、10、11、12月が前年を上回った、

特に19年の10月は同13%増、11月が同17.3%増と2桁超の伸びを見せた。KSP-POSデータの19年3月~20年2月までを見ると、上位4品は昨年と変わらず。前年は7位だったオタフクソースの「お好みソース 300g」が5位に上昇した。以下、20位までを見ると13位だったカゴメの「醸熟ソース とんかつ 300ml」が11位に上昇した。14位だったオタフクソースの「だしと醤油のたこ焼きソース 300g」は12位に、16位だったカゴメの「醸熟ソース 中濃 500ml」が15位に、19位だったブルドックソースの「うまソース 300ml」が17位に、20位だったオタフクソースの「お好み食べたい!ソース 300g」が19位に上昇した。

今上期の大手ソースメーカーのソース部門の業績を見ると、ブルドックソースが前年比2.5%増の104億4000万円、オタフクソースが同0.3%増の135億3600万円と両社ともに売上げを伸ばした。野菜価格が安定したことや天候不順による家庭内食機会の増加、お好み焼きセットなどの関連商材が伸長したことで前年を上回った。

最近のソース市場はお好み焼きや焼きそばなどの専用ソースと、塩分や糖質を減じたソースや有機野菜を使用したソースなどの健康志向の商品がトレンドとなっている。特に専用ソースは着実に市場に定着し、ソース売場で一定の地位を築いている。健康志向の面では、オタフクソースが40年以上「お好みソース」に使用してきた豊富な栄養素を含有する「デーツ(ナツメヤシの実)」の認知度向上や事業強化を目指し、昨年10月に「デーツ部」を新設。原料調達や新商品開発を積極的に行い、3月には家庭用で「デーツ」を新発売し、一層の普及策を進めている。

ウスターや中濃、とんかつなどの主力品は現在も500gタイプがKSP-POSデータの上位2品を占めているが、3位、5位、9位、10位に300gタイプがランクインしている。160mlタイプも増加傾向にある。徐々にではあるが少容量タイプへの移行が進んでいる。この流れは日本国内の人口減、少子高齢化や食の多様化、食シーンの変化などにより、今後も進んでいくと思われる。

業務用は新型コロナウイルスの影響により先行きに対して不透明感が増している。ただし、外食産業やホテル・旅館向けの需要は見込めないものの、惣菜など中食関係は堅調な推移が見込まれるため、大きく市場が縮小する可能性は低いと思われる。

販促関連では、ブルドックソースとカゴメが「ニッポンの洋食を食べよう!」と銘打った共同販促を東京以東の東日本エリアで開始している。ソースとトマトケチャップによる洋食ソースの使用で手軽にデミグラスソースやハヤシライスソースを作る提案を進めている。またオタフクソースは永谷園、日本ハム、ハウス食品と食物アレルギー協同取組み「プロジェクトA」を進めている。国内各地での食物アレルギー講演会や試食会の開催、通販サイト「LOHACO」内への特集ページ掲載などを実施し、食物アレルギー配慮商品の普及やレシピの共同開発などに取り組んでいる。また2月にはアレルギー月間に合わせて、2月3日から「食物アレルギー配慮 レシピブック」の配布を開始した。これは五つのテーマで合計39点を1冊にまとめている。これらの取組みはソース市場における企業の垣根を越えた新たな取組みとして注目を集めている。

ソース市場は全体として堅調な推移を見せている。専用ソースや健康志向のソースは成長しているものの、ウスターや中濃、とんかつなどの主力ソース類は伸び悩んでいる。現在は各メーカーがメーカー間の垣根を越えた取組みを進め、この取組みがソース市場に新たな需要を生み出すことに期待がかかる。

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