パン特集

粉類 2019.12.25
パン特集

 2019年の製パン業界は、「イーストフード、乳化剤不使用」強調表示という新たな課題に対応した。難しいかじ取りが求められるが、「軟着陸」に成功した格好だ。さらに19年上期は、18年に実施した値上げの影響を引きずった。18年5~6月に、米国カリフォルニア州の天候不順によるレーズンやクルミの大幅減産に伴う、17年産の価格高騰への対応を主要因に、大手製パンメーカーを中心に約10%の値上げを実施。また7月以降にも、大手製パンメーカーを中心として一部製品の値上げを実施。小麦粉・油脂類・包装資材に加え、人件費や燃料費など各種コスト増の吸収は企業努力では難しいと判断したからだ。
 小売業との価格改定の折衝では、かつて見られたような拒絶反応は見られず店頭売価は上昇した。販売単価は上がったが、価格改定の時期と、18年の記録的な猛暑襲来時期が重なったことで、需要減少を招き販売個数が減少、トータルの販売実績は前年並みとなった。こうした18年の流れは19年上期まで影響を受けた。一方下期は、7月の気温が低温で推移したことでパンの需要が活発化した。これを契機に、販売も回復基調に入った。(青柳英明)