長野・山梨地区夏季特集

総合 2020.08.21
長野・山梨地区夏季特集

 長引いた梅雨から一転、厳しい残暑が続いている甲信エリア。今年は、新型コロナウイルスの感染拡大と直面する異例の夏。富士山、軽井沢など国内有数のリゾート地を持つ長野、山梨両県にとって、観光需要を中心とした経済的なダメージは甚大だ。自助努力だけではどうにもならない難局に、域内食品業界は不安と焦燥感を募らせている。
 本紙が両県の食品メーカー、食品卸、食品小売業、外食業などを対象に行った調査では、約7割の企業がコロナ禍で売上げが減少していると回答。ウイルスの猛威が業績にも及んでいる状況が浮き彫りとなった。
 出口が見えない「アフターコロナ」。これから迎える変化について域内業界からは内食化や通販・宅配系チャネルのさらなる拡大予想に加え、デフレ傾向の強まりを懸念する声も強まっている。人口減少、少子高齢化が加速する地域市場は年々、地盤沈下が進んでおり、「価格競争に息の根を止められそう」(メーカー)、「体力のある大手しか生き残れない」(卸)未来への暗雲が垂れ込み始めている。
 東京・品川駅と甲府市を約25分、飯田市を約40分で結ぶリニア中央新幹線や、静岡県と山梨県、長野県をつなぐ中部横断自動車道など高速交通網の整備で、さらなるオープンマーケットへの変容が想定される近い未来の地域市場。「ウィズコロナ」から「アフターコロナ」の「新しい生活様式」「ニューノーマル」にどう向き合っていくのか。各社に今年前半戦の業況を振り返ってもらいつつ、変化を生き抜く一手を探った。(長野支局長=西澤貴寛)