北海道流通特集

小売 2021.09.26
北海道流通特集

 ●地域に応じた取組み加速
 2021北海道流通特集では、コロナ禍の道内流通環境と変わる消費者トレンド、アフターコロナへの想定などテーマに流通トップの経営スタンスをまとめた。「Try,One Trillion!」アークス横山清社長、「ラストワンマイルの優位性に磨きをかける」コープさっぽろ大見英明理事長、「新中期5ヵ年計画をリプラン・リスタート」イオン北海道・青柳英樹社長、「創業50周年でさらなる強いセコマグループへ」セコマ丸谷智保会長、「センター機能の再構築が最重点施策」北雄ラッキー桐生宇優社長–。各トップは「ワンストップショッピング」「総合的な食のインフラ強化」「食の改革」「アフターコロナで戻りきらない以前の生活習慣」「成熟期で伸ばすため絶えず模索」などをキーワードに挙げている。
 北海道では再びコロナ感染第5波到来で8月27日~9月30日まで緊急事態宣言となった。自粛期間は外食、ホテル、観光関連などへ大きな打撃を与え続けている。依然として「巣ごもり需要」で家庭用需要は堅調な動きだが、本特集で実施した「2021道内スーパー今夏の販売状況アンケート」では、「主力商品のEDLP化」「秋以降は物価上昇による苦戦」「デフレ傾向を予測」とのコメントが寄せられ、コロナ禍で「家事疲れ」に対応する商品の訴求も注目されている。
 道内景気の現状と先行き調査(北洋銀行)によると「景気回復に転じる時期」は、21年中(18%)、22年中(60%)、23年以降(22%)。産業別で最も多かった回答は、食料品製造業22年1~3月(回答29%)、卸売業22年4~6月(同36%)、小売業22年4~6月(同40%)、ホテル・旅館業21年10~12月(同25%)としている。
 道内人口(国勢調査)は1995年の569万人をピークに2020年が522万人と8%減少。この間、札幌市は12%増であるが、稚内市27%減、北見市・網走市14%減、釧路市・函館市21%減と道内平均を上回る減少となっている。地方都市における課題はさまざまあるが、北海道特有の大きな課題は、「札幌を中心とした広域分散型の都市構造」。道内小売業では日常生活、食文化、顧客との距離感など広域分散型の地域事情に応じた取組みがコロナ禍でより加速している。22年の景気回復へ大いに期待したい。(北海道支局長=高田真人)