いりぬか・ぬか漬けの素特集

◆いりぬか・ぬか漬けの素特集:「おうち時間」の新たな趣味に 若年層ユーザー増へ

農産加工 2021.03.26 12205号 10面

 20年のいりぬか・ぬか漬けの素市場は、前年を大きく上回る動きを見せた。テレワークの普及や外出自粛により「おうち時間」が増えたことで、新たな趣味としてぬか漬けを始める消費者が増えたようだ。コロナ禍で発酵食品への注目度が増したことも好調を後押ししたと考えられる。(三井伶子)

 ●市場好調、巣ごもりなどが後押し コロナ禍で発酵食品に注目

 20年のいりぬか・ぬか漬けの素市場は、(1)巣ごもり需要(2)野菜価格の安定(3)TVの影響–の三つの要素が好調を後押しした。春先から年末まで好調を維持し、今年もその勢いは止まらない。

 20年は緊急事態宣言発令後の連休前の最盛期に合わせて、各メーカーとも販売が急激に伸びた。

 KSP-POSで月次データを見ると、4月ごろから販売が上向き、特に5~6月の販売が上向いているようすがうかがえる。通年で前年比20~30%増を記録したメーカーもある。手軽に始められ続けやすいウエットタイプのほか、いりぬかの販売も伸びた。

 TV報道の影響も大きかった。「おうち時間が長く、ぬか床の需要が高まっている」といった内容でニュースに取り上げられたり、ぬか漬けを特集した番組の再放送などもあり、放送後の販売が伸びた。本来ならシーズンオフの年末の動きも良かった。

 通常、冬場はぬか床の閑散期だが、昨年は年末にぬか床を展開するスーパーが増えたようだ。

 21年は1月13日放送のNHK「あさイチ」でぬか床が特集された。発酵食品であるぬか床の乳酸菌パワーが健康と美容に良いことや、手軽に自宅でぬか床を作るコツなどを紹介した。番組では40分近くぬか床が取り上げられ、この影響はかなり大きかった。1月の販売が前年比200%増、2月も150%増と大幅伸長したメーカーもある。

 2月23日放送のNHKのニュース番組でもぬか漬けが取り上げられた。ぬか漬けは栄養豊富な発酵食品で、いま自宅で作る人が増えていると紹介。手軽さが人気の「パック入りぬか床」は、あらかじめ発酵させてあるので買ったその日から「ぬか漬け」に挑戦できる。さらに、冷蔵庫に入れておけば菌のバランスが保たれるので、1週間に1回程度かき混ぜればいい–などと紹介された。

 ぬか床商材は例年、5~6月の最盛期に向けて3~4月に展開されるが、今年はすでに売場にぬか床が並び、シーズンが1ヵ月程度前倒しされた格好だ。今年も野菜価格の安定や巣ごもり需要の継続が見込まれ、ぬか床は好調に推移すると推測される。また、家飲み需要が増えたことで、お酒に合うおつまみとして期待する声も上がる。

 巣ごもり需要でスーパー各社が農産品に注力するようになり、青果の売上げ増につながる漬材への企画が増えることも想定される。今までぬか漬けに興味を示さなかった若年層が巣ごもり体験を機会に新たなユーザーとなれば、市場全体の成長につながると考えられる。伝統的な漬物発酵文化に若年層が加わることで、新たなぬか漬け文化の発展が見込めそうだ。

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