高機能性米特集

◆高機能性米特集:健康志向で順風も、他カテゴリーと競争激化

農産加工 2021.07.30 12268号 04面

 コロナ禍の巣ごもり需要と健康志向の高まりを追い風に、健康を切り口にしたコメとその関連商品の需要が高まっている。はくばくによるPOSデータなどを基にした推計値では前期(20年4月~21年3月)、最も規模の大きい精麦類が、一昨年の人気TV番組に代表されるパブリシティー効果の反動で、前年比5.9%減少した影響から、全体では同0.3%減の前年並みにとどまった。ただ、他のカテゴリーでは、加工玄米が前年比17.9%、発芽玄米同6.3%、ミックス雑穀同2.3%それぞれ伸長。このほか栄養強化米が同0.6%増、単一雑穀が同7.8%減となった。(佐藤路登世)

 カテゴリー別市場規模では、精麦が55億0400万円、ミックス雑穀が33億0800万円、発芽玄米が14億8400万円、加工玄米が13億8500万円、栄養強化米が10億7000万円、単一雑穀が1億4100万円だった。

 商品別では、最も伸びた「金芽ロウカット玄米」で、20年5月~21年4月までの平均値(KSP-POS)が前年比23.3%増の大幅な伸び。ファンケル「発芽米」の通販や直営店を除く20年4月~21年3月の売上げは同5.5%増となった。

 精麦は、パブリシティー仮需があった18年の反動減が続き、前年割れとなったものの、ヘビーユーザー向けはくばくの「もち麦ごはん800g」は前年を超え、安定需要を確保している。さらに同社が昨春、新発売した「もち麦フレーク」が計画以上で推移するなど、多様な食べ方を提案する商品開発も不可欠となっている。

 各社とも、こうした動きを安定需要につなげようと今期、基本に立ち返って健康訴求を強化している。背景に穀物全体に注目が集まり、オートミールがブレークするなど、シリアルに代表される主食系健康関連商品と同じ土俵で競争が激化し、アピール力を高めることが課題となっていることがある。

 精麦・雑穀最大手のはくばくは、日本トイレ研究所と取り組み、今秋、食育活動に乗り出す。麦ご飯に豊富に含まれる食物繊維で、子どもの便秘という社会的課題を解決する出張授業のオンライン配信を9~10月にも開始する。

 加工玄米最大手の東洋ライスは「金芽ロウカット玄米」で、商品の特徴を分かりやすく伝えるとともに、コロナ太り解消を意識し糖質オフを訴求するなど地道な戦略を継続してきたが、昨年と一昨年の9月に関西圏、今年5~6月に首都圏でTVCMを導入するなど積極的にアピールしている。

 発芽玄米最大手のファンケルは、発芽玄米ならではのGABAや発芽させることの意義など特徴や魅力を伝える活動をスタートした。同時に、累計生産量10万t達成を記念するキャンペーンを実施して市場を盛り上げるほか、カレーやふりかけとの関連販売など、異業種とのコラボレーションを積極化している。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

  • 高機能性米特集

    高機能性米特集

    農産加工

     コロナ禍の巣ごもり需要と健康志向の高まりを追い風に、健康を切り口にしたコメとその関連商品の需要が高まっている。はくばくによるPOSデータなどを基にした推計値では前期(20年4月~21年3月)、最も規模の大きい精麦類が、 […]

    詳細 >