近畿中四国小売流通特集
●ポイント合戦による不毛な価格競争を懸念
今期の小売各社は、青果の相場変動に苦戦しながらも、3~6月までは、比較的堅調に推移していたが、7月の長梅雨による天候不順の影響で夏物商品の落ち込みが大きく、3~7月累計で大半が前年実績を下回っている。8月は気温上昇にともない回復傾向を示したが、7月のマイナス分をカバーするまでにはいたらなかった。
このような厳しい環境下で10月1日からは消費増税(税率8%から10%)となる。食品は消費税率8%に据え置く軽減税率制度(一部商品は10%)が適用される。消費者の負担を軽減し、中小店舗の売上げ減防止、キャッシュレス化の促進が狙いで、キャッシュレス決済によるポイント還元を20年6月まで実施する。クレジットカードや電子マネー、スマートフォンのQRコード決済など、現金以外で買い物をした際、購入額の一定割合を国がポイントとして還元する制度。中小店舗だと5%、大企業のフランチャイズ(FC)加盟店だと2%還元されるが、大企業はその対象とならない。不公平極まりない、税金のバラマキなどの批判があり、ポイント還元で消費税率は実質的に3%~10%までの複数となるなど、分かりにくい制度となっている。制度開始時はポイント還元対象となる約200万店の4分の1程度の参加にとどまるもようで、果たして中小店舗支援になるのか疑問だ。
少子高齢化の進行で、市場は依然縮小傾向が続いており、キャッシュレス決済によるポイント還元が導入されたところで、買い場が変わるだけで消費が喚起されるとは思えない。小売業界においては、大企業のポイントアップや販促強化を柱とした競合対策が強まり、ポイント合戦による不毛な価格競争が懸念される。
(関西支社=廣瀬嘉一)
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◆近畿中四国小売流通特集:消費増税でさらに競争激化
小売 2019.09.26●ポイント合戦による不毛な価格競争を懸念 今期の小売各社は、青果の相場変動に苦戦しながらも、3~6月までは、比較的堅調に推移していたが、7月の長梅雨による天候不順の影響で夏物商品の落ち込みが大きく、3~7月累計で大半が前年実績を下回っている。8月は…続きを読む
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小売 2019.09.26近鉄グループの一員としてスーパーマット事業を運営する近商ストアは、大阪・奈良・京都・三重で地域密着の店舗展開を推進している。今期からは新業態(都市型小型店)を開発し新規出店を再開するなど、今後は積極的に業容拡大を進める考えだ。また、6月には、とくし丸…続きを読む
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小売 2019.09.26◇専務取締役営業本部長 梶原雄一朗氏 広島市を拠点に中国、四国、九州エリアで大型ショッピングセンター「ゆめタウン」やオープンモールの「ゆめモール」、食品スーパー「ゆめマート」などを展開する西日本を代表するスーパーマーケットチェーンのイズミ。昨年は、…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:フジ・山口普社長 さらなる安さを追求
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近畿中四国小売流通特集:サニーマート・中村彰宏社長 生活総合提案型小売へ
小売 2019.09.26高知を地盤とした地域一番チェーンのサニーマート。地域に根ざした「生活総合提案型」の小売業を目指している。その対応を強化するため新年度から人事・体制を変更、外部を入れてのプロジェクトチームも立ち上げたその思いと、今後の方針について社長の中村彰宏氏に聞い…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:サンシャインチェーン本部・川崎博道会長、桑名俊二社長
小売 2019.09.26人口の減少、地域経済の伸びの少ない市場の中、DgSの出店が続いて競合が厳しい高知小売市場。地域密着のもと、地域の人たちに喜ばれる店づくりで差別化を図りたいとするサンシャインチェーン本部代表取締役会長川崎博道氏、代表取締役社長桑名俊二氏に話を聞いた。 …続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:きむら・木村宏雄社長 「生鮮特化型SM」を標榜
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近畿中四国小売流通特集:注目の新店舗 都市部では小型店開発進む
小売 2019.09.26●店舗老朽化によるS&Bも増加傾向 少子高齢化の進行、単身世帯の増加が進む中、都市部への人口集中が続いているが、同所でも買い場がないケースが散見される。地方での買物支援のための小型店出店に加えて、都市部においても小型店開発が活発化している。 また…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:注目の新店舗=ライフコーポレーション「ミニエル西本町…
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近畿中四国小売流通特集:注目の新店舗=さとうフレッシュフロンティア「ミニフレ…
小売 2019.09.26●地域コミュニティーの中心的存在 コンビニエントコーナーを展開 さとうフレッシュフロンティアは7月26日に京都府福知山市三和町にスーパーマーケット「ミニフレッシュ三和店」をオープンした。昨年2月に三和町唯一のスーパーが閉店した空白地帯。3km圏の人…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:注目の新店舗=阪急オアシス「阪急オアシスキセラ川西店…
小売 2019.09.26●郊外型グローサラント業態を展開 滞在型スーパーマーケット 阪急オアシスは8月2日、兵庫県川西市に地上3階建てオープンモールタイプのネイバーフッド型ショッピングセンター(NSC)「オアシスタウン」の核店舗として「阪急オアシスキセラ川西店」をオープン…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:注目の新店舗=イオン「イオン藤井寺ショッピングセンタ…
小売 2019.09.26●こだわった生鮮食品を拡充 バイオーダー形式の肉バルを展開 イオンは9月14日、大阪府藤井寺市に新たな商業施設「イオン藤井寺ショッピングセンター」をオープンした。 同ショッピングセンター(SC)は、73年開業し、07年「イオンモール藤井寺」に名称…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:注目の新店舗=マックスバリュ西日本「マックスバリュ英…
小売 2019.09.26●食卓提案発信基地をコンセプト 顧客の意見・要望取り入れる マックスバリュ西日本は9月7日、兵庫県姫路市に「マックスバリュ英賀保店」をオープンした。 同店は82年にウエルマートとしてオープン以来、長きにわたり地域に愛され営業を続けてきたが、今回地…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:小売展望・近畿エリア=店舗開発の企業間格差が顕著に
小売 2019.09.26●都市部で小型店開発進む 高齢化や人口減少による市場縮小、人手不足による人件費・物流コストの上昇、ドラッグストアやディスカウントストア、コンビニエンスストアなど業態の垣根を越えた競合激化に加えて、店舗形態の多様化やネット通販の拡大、ネットとリアル店…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:小売展望・中国エリア=業界再編の動きが活発化
小売 2019.09.26●新業態店舗の進出続く 少子高齢化や人口減少傾向が進む中国地方だが、そうした中でもエリアのリージョナルスーパーや大手全国チェーンスーパーの新規出店が続いている。また、コンビニエンスストア(CVS)やドラッグストア(DgS)、ディスカウントストア(D…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:小売展望・四国エリア=イオングループの寡占化進む
小売 2019.09.26●ドラッグストアの出店攻勢続く 9月10日にマックスバリュ西日本の加栗章男社長が突然辞任、後任の社長にマルナカ社長の平尾健一氏が就任、マルナカの社長に取締役営業本部長の斎藤光義氏が昇格した。なおマックスバリュ西日本の平尾社長はマルナカ、山陽マルナカ…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:関西地区百貨店動向=インバウンド需要、引き続き旺盛
小売 2019.09.26日本百貨店協会によると、19年上期の大阪地区百貨店売上高は、1月3.8%減、2月4.0%増、3月2.6%増、4月2.0%増、5月2.0%増、6月2.3%増で、上期計1.4%のプラスとなった。7月も1.3%増で、全国の各地区と比べても大阪地区の数字は引…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:ライフコーポレーション・中川義規近畿圏商品本部長
小売 2019.09.26◇執行役員近畿圏商品本部長 中川義規氏 2021年度を最終年度とする中期経営計画で、売上高8000億円、経常利益200億円を目指すライフコーポレーション。競合各社との違いを際立たせた「ライフらしさ」を明確に打ち出すことで、「ライフ」ブランドの確立を…続きを読む
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近畿中四国小売流通特集:イオンリテール近畿カンパニー・土谷美津子支社長
小売 2019.09.26◇近畿カンパニー支社長・取締役執行役員副社長 土谷美津子氏 イオングループのGMS(総合スーパー)運営を担当し、兵庫県・大阪府・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県を管轄するイオンリテール近畿カンパニーは、店舗のオペレーションや品揃え、販売計画などをあ…続きを読む