緑茶特集
●新型コロナ抑制効果も期待
茶業界が需要期を迎えた。リーフ需要の減少分を、PET飲料需要と抹茶を中心とした輸出が下支えする構造もコロナ禍で一変。外出自粛による在宅勤務の拡大や全国規模でのイベント中止といった影響で、オフィスやPET飲料需要が大きく減少した。当然、輸出にも影響が生じたことから業務用が苦戦を強いられた。秋口にかけて徐々に回復しつつあるとの声も聞くが、非常に厳しい経営環境は現状では継続している。
一方、近年悩みの種であったリーフ茶には光明が差した。在宅時間の増加は、売上げ基盤である高齢者層の消費増加を生むだけでなく従来、PET飲料を常用する若年層などにも波及した。日常生活に制限が強いられる環境下で、癒しを得られると再評価を受けた。豊富な茶種に豊かな風味を有する緑茶の奥深き世界を日常生活で楽しむ和が、今回を機に広がることを願うばかりだ。
ただ、緑茶業界を支える大部分が中小規模。コロナ禍が解消した先を考察すると、小売販売は大手の寡占状態で市販での大幅拡大はいばらの道。業務用に目を向けてもOEM、バルク販売もブランド力に乏しいと価格競争となる。
店舗展開も行う茶業者は「アンテナショップを残し、店舗整理が必要。今後は高齢者層が外出できずとも購入できる仕組みづくりと急須を使う習慣があり、ネットを使いこなす50~60代に向けたEC事業に力を注ぐことが中小にとって生存の分かれ目となるのでは」と語る。
また、高まる健康志向を背景に「日本茶の衝撃的な機能性を発見されれば」と切実な願いも聞かれる中、奈良県立医科大学(橿原市)が基礎研究段階ながらも市販の緑茶や紅茶などを使用した実験で、新型コロナの感染力を抑制する効果があると発表。まだメカニズムは不明で、人での効果は未確認ながら大きな注目を集める。
そのほか、愛知県茶業連合会では同県産茶試供品ティーバッグ3種(普通煎茶・深蒸し煎茶・かぶせ茶)と同県産茶を取り扱う店舗をまとめた茶販売店マップに加えて、あいちの茶理解促進パンフレット「リアル謎解きゲーム~グリーンティアラのゆくえ~」を作成するなど、各生産地では茶業団体が主導する需要拡大への取組みが積極的に進められており、緑茶の潜在ニーズの掘り起こしにつながることが期待される。(立川大介)
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◆緑茶特集:リーフ茶に光明差す 癒やし再評価、在宅増え需要拡大
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緑茶特集:宇治の露製茶 「伊右衛門」など6品をリニューアル・新発売
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緑茶特集:木長園 「木長園」を商標登録 宇治茶専門メーカーのブランド守る
嗜好飲料 特集 2020.12.14木長園のある宇治田原町は煎茶の祖・永谷宗円の出身地として、煎茶発祥の地をうたっている。その地で緑茶の生産から茶製造企業へ、そして抹茶製造専門企業へと変遷してきた。宇治茶という言葉が業界でも使用されていない約50年前から「宇治抹茶の専門メーカー」という…続きを読む
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嗜好飲料 特集 2020.12.14●ユーザーニーズとらえ消費の掘り起こし 山城物産は、宇治茶の一大産地・山城の和束に工場がある。その良質のお茶が取れる地の利を生かし、本当においしいお茶を茶葉で飲んでもらいたいと提案を続けている。 特に簡便性と茶葉そのものの本物をいただく粉末茶の拡…続きを読む
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緑茶特集:つぼ市製茶本舗 「うがい茶」新発売 高い抗菌作用を訴求
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嗜好飲料 特集 2020.12.14カメタニは、ドリンク用、ティーバッグ用原料茶葉加工やほうじ茶生産、粉体茶製品を中心に生産する。特にほうじ茶の生産は業界でもトップクラスの技術と生産能力を誇る。 奈良県山添村のお茶の生産者から亀谷真一社長が荒茶工場を改良しほうじ茶加工を始めた。リーフ…続きを読む
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緑茶特集:丸久小山園 全国茶品評会で通算22回目の第1位 品質本位の茶づくり
嗜好飲料 特集 2020.12.14丸久小山園は8月に開催された第74回全国茶品評会で1位となる農林水産大臣賞を6年ぶりに受賞した。同賞の受賞は通算で22回目。関西茶品評会でもこれまで9回にわたり1位に輝いている。茶道各派の指定商品も生産し、宇治抹茶業界で最高品質の商品づくりがあらため…続きを読む
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嗜好飲料 特集 2020.12.14人々の生活様式は変わったが、もっとリーフを飲んでもらう方法はないだろうか。三重県の川原製茶では「三重ブランド」を大切にしながら、他分野に目を向け、海外展開、他社とのコラボ、外食産業への進出をカギとして導き出している。そこで、陣頭指揮を執る川原登社長に…続きを読む
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嗜好飲料 特集 2020.12.14南山園の経営方針を特徴づける「6次産業」。茶園での生産、加工、販売開拓まで会社が全工程に関わるという姿勢は全国でも珍しく、異彩を放つ。茶道の精神にならい、「最後まで責任をもってお客さまにお届けしようと夢中でやってきた」という富田清治社長(愛知県茶商工…続きを読む