酒類流通の未来を探る

酒類流通の未来を探る:酒類の輸出入動向=輸出600億円突破 日本酒の海外展開加速

酒類 特集 2019.09.21 11944号 05面
ジェトロが出展した海外ブース「インバイブ ライブ」

ジェトロが出展した海外ブース「インバイブ ライブ」

日本産酒類の需要が海外で高まっている。18年の輸出金額は約618億円と初めて600億円を突破。7年連続で過去最高を更新した。日本酒が成長をけん引する中、今後メーカーの海外展開が加速しそうだ。外需開拓が進む一方、国内の輸入酒市場は欧州産ワインの拡大に期待がかかる。2月に発効した欧州連合との経済連携協定に伴い、欧州の業界団体や政府機関は日本でのプロモーションを積極展開し、需要拡大に動いている。

日本産酒類のさらなる輸出拡大に向け、国も積極的に動き出している。海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)は今年に入り、中国でワイン卸を手掛けるトリオ社や米国のウィンク社に出資。日本酒の拡販に力を入れていく。

国税庁は20年度予算の概算要求額を前年度比10倍となる25億円に設定し、輸出強化に乗り出す。海外にコーディネーターを設置し日本産酒類の新規取扱事業者を開拓するほか、来年の東京五輪に合わせてプロモーションを展開し、インバウンド需要を取り込む。

国内酒類市場が縮小する中、ワインは中長期的な成長が期待できる数少ないカテゴリーだ。日本国内のワイン市場は過去10年で約50%増と大きく伸長。1人当たりのワイン消費量は年間約3Lと欧州諸国と比べ圧倒的に少ないことから、今後の伸びしろが大きいとも言える。

日欧EPAを機に欧州産にかかっていた関税が撤廃され、日本での欧州産の競争力が高まった。欧州ワインの生産者団体が日本でのプロモーションに力を入れているほか、イタリア大使館貿易促進部は、キャンペーンの規模を拡大し自国のワインの浸透を図っている。(岡朋弘)

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