新春特集第1部
新春特集第1部:パッケージ最前線=新素材 高機能開発し付加価値を
高い機能性を付与した新しい資材や素材の開発も進んだ。見た目は変わらないが、使用する原料をサステナブルなものに変更したり、より環境負荷の低いものに切り替えたりする動きがある。大手包装資材メーカーを中心に開発が進んでおり、21年はより付加価値の高い包装資材の採用事例が増えそうだ。
TBMは、石灰石を主原料にした「LIMEX(ライメックス)」を製造・販売する。原料に水や木材パルプを使用せず、紙・プラスチックの代替になる新素材。食品業界では、トレーや軟包材での利用が進んでいる。強度が高く、耐水・耐油・耐熱性に優れているため、デリバリー用の食品容器としての利用も期待される。
レンゴーが開発した「REBIOS(レビオス)」は、植物由来で生分解性のあるセロファンや紙をベースにしたパッケージシリーズ。石油由来の樹脂を使用する代わりにバイオマス由来の生分解性素材を使用し、ヒートシール性や防湿性、酸素バリア性などの機能を付与している。
東洋製罐グループホールディングスは、紙製スタンディングパウチ「PA-PAUCH(ペーパウチ)」を開発した。印刷面が広く大きなデザインを施すことができ、内容物の魅力を視覚的にアピールできる。底面が長方形型なので安定性があり、自立する。内容物を保護する防湿性も高い。
凸版印刷は、容器表面に付着したウイルスを著しく減少させる抗ウイルス対応パッケージのサンプル出荷を開始した。建装材用化粧シートで採用した抗ウイルス効果を持つ加工技術を、食品用紙製パッケージに応用した。新型コロナウイルスの感染拡大により、非接触環境や抗ウイルス仕様の製品を求める消費者ニーズに対応する。
大日本印刷は飲料、アルコール飲料、調味料などに使う長期常温保存できる液体紙容器について、バイオマスプラスチックやバイオマスインキ、森林認証紙の組み合わせを標準仕様として提供する。環境に配慮しながらも従来と同等の物性を有し、製造コストを抑え製品価格が上昇しないように配慮する。
日本製紙は、紙なのに酸素・香りをバリアする紙製バリア素材「シールドプラス」をリニューアル。ピロー袋やガゼット袋などより多様な包装形態への適用が可能になった。供給体制を整え、サンプル提供を開始した。今後は、欧州市場を中心にグローバルマーケットでの展開を進める。